研究課題/領域番号 |
22K18295
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山田 智明 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (80509349)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2025年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2024年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | 強誘電体 / 分極 / スキルミオン |
研究開始時の研究の概要 |
近年、トポロジカル絶縁体や磁気スキルミオンといった、トポロジーに守られた物質の創製と物性に注目が集まっている。これらは電子や磁気に関するものだが、同じアナロジーが適用され得る分極については、ほとんど開拓されていない。そこで本研究では、常誘電体に挟まれた強誘電体超薄膜に発現する微小な渦状分極に着目し、分極スキルミオンの創製とその駆動制御を目指す。具体的には、強誘電体超薄膜の電気的・機械的境界条件の制御による分極スキルミオンの形成と、電場が分極スキルミオンに与える影響の解明、およびそれを用いた駆動制御に取り組む。
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研究実績の概要 |
近年、トポロジカル絶縁体や磁気スキルミオンといった、トポロジーに守られた物質の創製と物性に大きな注目が集まっている。これらは電子や磁気に関するものだが、同じアナロジーが適用され得る分極については、ほとんど開拓されていない。そこで、本研究では、常誘電体に挟まれた強誘電体超薄膜に発現する微小な渦状分極に着目し、分極スキルミオンの創製とその駆動制御を目指す。具体的には、強誘電体超薄膜の電気的・機械的境界条件の制御による分極スキルミオンの形成と、電場が分極スキルミオンに与える影響の解明、およびそれを用いた駆動制御に取り組む。 R5年度は、R4年度から引き続き、電場が分極スキルミオンに与える影響の解明に取り組んだ。薄膜表面に櫛形の対向電極を設計・作製して、電場-分極特性を調べた結果、膜面に平行な電場(水平電場)の掃引によって優位に大きな残留分極を有するヒステリシスが観測されたことから、水平電場の印加によってスキルミオンが崩壊してa1/a2ドメインに容易に移行する可能性が示唆された。一方で、R4年度の研究結果から、垂直電場ではスキルミオンドメインの分極再配向が可逆的に起こることが示唆されており、これらの結果を総合すると、水平電場を用いたスキルミオンの駆動制御は、スキルミオンが崩壊しない範囲の小電場(10 kV/cm以下)で行う必要があることがわかった。また、今後のスキルミオンの駆動制御に向けて、強誘電体超薄膜として、これまでの(PbxSr1-x)TiO3 (PST) x=0.9に加えて、渦分極の報告例が多くあるPST x=1を用いることとし、DyScO3基板上にSrRuO3下部電極層を堆積して、その上にこれらの超格子薄膜を作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、R5年度は電場が分極スキルミオンに与える影響の解明を進めた。薄膜表面への櫛形対向電極の作製と、これを用いた水平電場下における分極特性の評価、垂直電場との比較など、概ね計画通りである。水平電場印加時の圧電応答顕微鏡を用いたドメイン評価は完了していないが、水平電場を用いたスキルミオンの駆動制御における電場印加範囲を特定したほか、今後のスキルミオンの駆動制御に向けて、異なるPb/Sr比のPST膜の作製を行うなど、概ね計画通りに順調に進展している状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
R6年度は、引き続き電場が分極スキルミオンに与える影響の解明に取り組むほか、これまでに得られた知見を利用して、対向電極と圧電応答顕微鏡を併用したスキルミオンの駆動制御に注力する予定である。前者については、水平電場によってドメインがどのように変化するかを圧電応答顕微鏡を用いて評価する。後者については、対向電極を用いた水平電場の印加と、圧電応答顕微鏡のプローブを用いた局所電場の印加を組み合わせることで、駆動制御を試みる。具体的には、電極間に印加する電界でポーリングを行い、プローブを通して印加する電界で局所的なドメインの制御を行う。これにより、分極スキルミオンの電場駆動制御に向けた基礎的設計指針を確立する。
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