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実験/数値/データ駆動流体力学の融合による瞬時壁面せん断応力分布の計測

研究課題

研究課題/領域番号 22K18302
研究種目

挑戦的研究(開拓)

配分区分基金
審査区分 中区分24:航空宇宙工学、船舶海洋工学およびその関連分野
研究機関岡山大学

研究代表者

河内 俊憲  岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (40415922)

研究分担者 田中 健人  岡山大学, 自然科学学域, 助教 (40911011)
研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2022年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
キーワードレーザ計測 / 深層学習 / Large Eddy Simulation / 超音速流れ
研究開始時の研究の概要

近年,様々な分野で深層学習が利用されるようになってきた.しかしながら,実験流体力学の分野では深層学習と真の融合をはかった革新的な研究はほとんどない.我々が考える真の融合とは,実験のみでは計測できない物理量も深層学習との融合により計測が可能となることである.本研究では,壁面から離れた物理量と壁面せん断応力を関係づけるモデルの深層学習を,高精度・高忠実な数値シミュレーションの値を用いて行う.この深層学習されたモデルに,粒子画像流速計測法で得られた速度データ等を入力し,超音速流中の壁面せん断応力の瞬時分布の計測という,未だ誰もなし得ていな計測に挑む.

研究実績の概要

本研究では流体の先進画像計測に深層学習を融合することで、革新的な計測法を創生することを目指している。本研究では、その題材として、「超音速流中の壁面せん断応力の瞬時分布の計測」という、未だ誰も成しえていないテーマに挑戦している。具体的には、壁面から離れた物理量と壁面せん断応力を関係づけるモデルの深層学習を、高精度・高忠実な数値シミュレーションの値を用いて行い、この深層学習されたモデルに、粒子画像流速計測法で得られた速度データ等を入力し、超音速流中の壁面せん断応力の瞬時分布の計測を試みている。
深層学習の教師データとして用いる数値シミュレーションに関しては、2022年度に開発を着手したKEEPを境界層用コードに移植した。まず比較的小規模な計算を行い、適切な境界条件の与え方を検討し、その後、既存のコードを用いて得られた結果との比較を行い、KEEPスキームの優位性を確認した。これらを終えた後、大規模で長秒時の計算を実施し、深層学習用のデータの取得を行なった。深層学習に関しては、昨年度課題として挙がった「学習を行った時刻から統計的に離れている外挿データ区間における予測精度の改善」を目指し、正解データ(壁面せん断応力)の与え方、学習データ(流速分布と壁面せん断応力)のデータ数(用いる時間数)、入力として与える流速分布の高さ位置の検討を行なった。結果として、正解データをベクトルで与えることで8%の精度改善、また高さ位置を実験で計測可能な壁面近傍ギリギリまで近づけることで大幅な精度改善を達成できた。またこれら結果の考察から、正解データの確率密度分布が学習結果に大きな影響を与えていることを突き止め、今後の指針を得ることができた。実験に関しては、本年度、大学で実験棟の移設が行われたため遅れが生じ、広範囲かつ高精細なPIVデータの取得のみに留まっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

3年間の実施計画として「1) 高精度なLESによる深層学習用の教師データ取得」、「2) LESを教師データとした壁面せん断応力と空間データをつなぐ深層学習モデルの構築」、「3) LESと同じ系による実験データの取得」、および「4) 深層学習モデルを用いた実験データからの瞬時壁面せん断応力の算出と妥当性の検証」を挙げている。2023年度の成果として、1)に関してはKEEPスキームを導入した境界層用の計算コードを用いて、大規模かつ高精度・高忠実なLESを実施し、深層学習用教師データの取得を完了した。2)に関しても、2022年度に課題として挙がった「学習を行った時刻から統計的に離れている外挿データ区間における予測精度の改善」に関して、大幅な改善の兆し(為すべき方策)を得ることができた。3)と4)に関しては実験棟の移設があったため、PIVを用いた流速データの取得のみに留まっており、遅れが生じているけれど、1)と2)の進捗を加味し、「おおむね順調に進展している」とした。

今後の研究の推進方策

深層学習の教師データとして用いる数値シミュレーションに関しては、引き続き計算を実施し、学習用データの取得を続ける。深層学習のモデル構築に関しては、2022年度に課題として挙がった「学習を行った時刻から統計的に離れている外挿データ区間における予測精度の改善」を、先に記載したように入力データ(流速分布)を実験で計測可能なギリギリの高さまで壁面に近づけることで達成できている。しかしながら、壁面近傍の実験データには予期せぬエラーが含まれる可能性もあり、少しでも壁面から離れた計測位置のデータを用いたロバストなモデル構築が不可欠である。そこで2024年度は、モデルがよりロバストになるように与える正解データ(壁面せん断応力)を故意に選択する手法の開発を目指す。また新たなモデルとして強化学習の適用を試みる。実験データの取得に関しては、2023年度に実験棟の移設があり、移設および移設後の装置検証等に時間と実験数を裂かれた為、現状遅れている。2023年度は高解像度PIV用カメラ1台の購入とこれを用いたPIVデータの取得のみに留まっている。移設および装置検証はなんとか2023年度内に完了できたので、2024年度は高解像度PIV用カメラ1台を追加で、また高解像度PLIFカメラ1台を新規で購入し、データ取得を加速する。また2023年度に取得したPIVデータに同じく2023年度に構築した壁面近傍の入力データを用いた深層学習モデルを適用し、瞬時壁面せん断応力の算出を行う。そして、これをアンサンブル平均した値と2024年度に油膜干渉法を用いて新たに取得する時間平均壁面せん断応力の結果とを比較し,その妥当性の検証を行う。可能であれば、2024年度に構築予定のモデルの適用も行う。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 審査結果の所見   実施状況報告書
  • 研究成果

    (13件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 学会発表 (12件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 壁面せん断応力を推定する機械学習モデルのロバスト性向上2024

    • 著者名/発表者名
      原健太, 成富和希, 河内俊憲, 鈴木博貴, 田中健人
    • 学会等名
      第54回 日本機械学会 中国四国学生会 学生員卒業研究発表講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 数値計算による断層シュリーレン法の再現2024

    • 著者名/発表者名
      小寺成美, 河内俊憲, 鈴木博貴, 田中健人
    • 学会等名
      第54回 日本機械学会 中国四国学生会 学生員卒業研究発表講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 超音速風洞における乱流格子形状と風洞壁に発達する境界層の関係2024

    • 著者名/発表者名
      福田_光一,_河内_俊憲,_鈴木_博貴,_田中_健人
    • 学会等名
      日本機械学会 中国四国支部 第62期総会・講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Phase-lock Analysis of Two-dimensional Transonic Shock Buffet by Using Machine Learning2024

    • 著者名/発表者名
      T. Kikuchi, T. Kouchi, K. Tanaka, K. Takeuchi
    • 学会等名
      AIAA Scitech 2024 Forum
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Locally Broken Shock Wave Detection with One-dimensional Convolutional Neural Network in Shock Turbulence Interaction2024

    • 著者名/発表者名
      K. Tanaka, T. Kouchi, H. Suzuki, K. Takeuchi
    • 学会等名
      AIAA Scitech 2024 Forum
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 一様等方性乱流との干渉により発生する球面衝撃波の変調2024

    • 著者名/発表者名
      田中健人, 渡邉大成, 鈴木博貴, 河内俊憲
    • 学会等名
      2023年度衝撃波シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 粘性底層を含まない流体データから壁面せん断応力を推定する機械学習モデル2023

    • 著者名/発表者名
      成富和希,丸山裕也,河内俊憲,鈴木博貴,田中健人
    • 学会等名
      第55回 流体力学講演会・第41回航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 高レイノルズ数空力を支える流体計測とデータ駆動型解析の試み2023

    • 著者名/発表者名
      河内俊憲
    • 学会等名
      第488回 日本航空宇宙学会関西支部航空懇談会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] KEEPスキームを導入した超音速乱流境界層のLES2023

    • 著者名/発表者名
      藏崎響, 田中健人, 鈴木博貴, 河内俊憲
    • 学会等名
      第32回 日本流体力学会 中四国・九州支部講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 機械学習を用いた境界層の対数領域から外層にかけての速度データから壁面せん断応力を推定するモデルの検討2023

    • 著者名/発表者名
      河内俊憲,成富和希,原健太,田中健人,鈴木博貴
    • 学会等名
      第60回日本航空宇宙学会関西・中部支部合同秋季大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Dynamic Mode Decomposition of Simultaneous Dual-layer Focusing Schlieren and Unsteady Pressure-Sensitive Paint Measurements for Transonic Buffet on a Swept Wing2023

    • 著者名/発表者名
      S. Fukumoto, T. Kouchi, Y. Sugioka, and S. Koike
    • 学会等名
      AIAA SCITECH 2023 Forum
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 超音速乱流境界層のPIVデータから壁面せん断応力を推定するCNNモデルのLESを用いた学習2022

    • 著者名/発表者名
      丸山裕也, 河内俊憲, 鈴木博貴, 田中健人, 中濱樹央
    • 学会等名
      第36回 数値流体力学シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] 岡山大学 工学部 流体力学研究室 Research Projects

    • URL

      http://www.cc.okayama-u.ac.jp/fdl/o3_sub_projects.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-07-05   更新日: 2024-12-25  

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