研究課題/領域番号 |
22K18303
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分25:社会システム工学、安全工学、防災工学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
庄司 学 筑波大学, システム情報系, 教授 (60282836)
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研究分担者 |
永田 茂 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 災害過程研究部門, 契約研究員 (50217999)
北原 格 筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (70323277)
川村 洋平 北海道大学, 工学研究院, 教授 (40361323)
延原 肇 筑波大学, システム情報系, 教授 (80359687)
丸山 喜久 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (70397024)
西尾 真由子 筑波大学, システム情報系, 准教授 (00586795)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
25,090千円 (直接経費: 19,300千円、間接経費: 5,790千円)
2024年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2023年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2022年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
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キーワード | 末梢系埋設管路 / 地震損傷 / 推定アルゴリズム / 道路路面 / 地盤変状 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,上水道の配水管,及び,下水道の汚水管・雨水管等のライフライン末梢系地下埋設管路を対象として,地震起因の地盤変状で被災した埋設管路のデータベースを構築するとともに一般的な地下管路構造の経年劣化メカニズムを陽に反映させたフラジリティーモデルを構築する.その上で,これらのモデルに基づき系の状態推定量の初期勾配ベクトルを設定し,UAVや車両搭載カメラより取得する画像データより推定される道路路面の状態量から,地震で被災した後の管路-埋設地盤系の状態観測量を出力する識別子を創出することで,地震直後の地下埋設管路の損傷推定に関わる高精度かつ効率的なアルゴリズムを開発する.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,上・下水道等のライフライン末梢系地下埋設管路を対象として,埋設地点の道路路面に対する地震起因の地盤変状を画像データとして覚知した場合の埋設管路の損傷推定アルゴリズムを開発することである. 研究パートAでは,2022年度に構築した,地震起因の地盤変状で被災した埋設管路のデータベースを活用して,熊本地震で被災した上・下水道の埋設管路を対象とし,地表面最大速度(PGV)並びに地表変位(U)の空間変動に対する埋設管路の被害率の特徴を明らかにした.その結果,1.0 m/s 以上かつU=1.0 m以上の複合荷重の下で,道路路面の液状化に伴い被害率が急激に高まることが明らかになった.これより,地震起因の地盤変状として路面液状化にフォーカスすることとし,2022年度に実施した,熊本地震発生後に撮影された25枚の空中写真に対するテクスチャー解析結果を再精査して,路面液状化の被害判別に有効な特徴量を明らかにした. 研究パートBでは,2022年度に開発した,UAVや車両搭載カメラ等より取得する地表面の空撮画像のステレオマッチングによる地表面亀裂に対する計測アルゴリズムの適用と精査を行った.具体的には,硅砂と水を6:4から6.75:3.25の体積比で配合させた砂地盤と枝線相当の管路要素で形成される管路-埋設地盤系モデルを作成した後,熊本地震並びに能登半島地震で観測された地震波等をモデルに作用させて1G場の振動台加震実験を実施し,加震前と加震終了後の地表面変位場を上記アルゴリズムに基づき推定した.併せて,加震前後の埋設管路の管軸方向に沿った鉛直方向の変形量を実測し,地表面変位場並びに埋設管路の鉛直変形量の空間変動の相関を明らかにした.これより,地震後に空撮画像より推定される道路路面の状態量から地震後の管路-埋設地盤系の状態量を推定するモデル構築に必要となる実験データを得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「補助事業期間中の研究実施計画」をおおむね満足するような研究実績を得ることができたため.具体的には,研究パートAについては,熊本地震で被災した上・下水道の埋設管路に対するフラジリティー解析を進展させて強震動並びに地盤変状の2変量外乱の複合荷重に対する埋設管路の被害率の特徴を定量的に明らかにして,末梢系埋設管路の被害要因として路面液状化の被害モードが支配的となり得ることを明らかにできた.研究パートBについては,地震後に空撮画像より推定される道路路面の状態量から地震後の管路-埋設地盤系の状態量を推定するモデル構築に必要となる実験データを,管路-埋設地盤系モデルに対する1G場の振動台加震実験を多試行することで得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
研究パートAについては,熊本地震後の空中写真から被害判別された路面液状化の発生エリアと埋設管路データを重ね合わせて路面液状化によって管路被害が生じたエリアを特定した後,熊本地震後に取得されたInSARのデータに基づき,それらのエリアの地表面変位場の推定を試みる.これより,以降の研究パートBで構築するモデルの入力データとして,モデルより対象エリアの管路被害を推定し,実被害との検証をはかる. 研究パートBについては,空撮画像のステレオマッチングによる地表面変位場の計測アルゴリズムに関わる研究を2023年度から引き続き推進し,地盤変状の中でも道路路面の液状化被害に焦点を当てて,UAV等による空撮画像解析と管路-埋設地盤系の振動台加震実験を組み合わせて多試行することにより,空撮画像より推定される地震前後の道路路面の状態量と,同じく地震前後の管路-埋設地盤系の状態量の空間相関を推定可能なモデル構築を推進する.
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