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逆バイアス効果が切り拓く蓄エネルギーセラミックスのフロンティア

研究課題

研究課題/領域番号 22K18308
研究種目

挑戦的研究(開拓)

配分区分基金
審査区分 中区分26:材料工学およびその関連分野
研究機関東京工業大学

研究代表者

保科 拓也  東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (80509399)

研究分担者 谷口 博基  名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (80422525)
安井 伸太郎  東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (40616687)
研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2025年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
キーワード蓄エネルギー / 誘電体 / 非線形材料 / セラミックス / カーボンニュートラル
研究開始時の研究の概要

急激な加速を続けるエネルギー需要に応えるために蓄エネルギー材料の性能革新が必要不可欠である。その中でも蓄エネルギーセラミックスは、高温・高電圧下において優れた安全性と信頼性を有する材料として強く期待されている。本研究では酸素四面体を主要な構成要素とするABO3+nMO2系化合物に着目し、電場印加に伴って誘電率が増加するユニークな非線形誘電応答(逆バイアス効果)を示す新規物質系を開拓する。同化合物系における反強/フェリ誘電性のメカニズムの解明に取り組み、それによって得られる知見に基づいて、従来材料を凌駕する高蓄エネルギー密度と急速充放電性を共に備えた革新的な蓄エネルギーセラミックスを創製する。

研究実績の概要

近年の急激な加速を続けるエネルギー需要に応えるために蓄エネルギー材料の性能革新が必要不可欠である。その中でも特に蓄エネルギーセラミックスは、高温・高電圧下において電気化学キャパシタや種々の電池と比較して圧倒的に優れた安全性と信頼性を有する材料として強く期待されている。本研究では酸素四面体を主要な構成要素とするABO3+nMO2系化合物に着目し、電場印加に伴って誘電率が増加するユニークな非線形誘電応答(逆バイアス効果)を示す新規物質系を開拓する。申請者らが近年発見したABO3+nMO2系化合物における反強/フェリ誘電性のメカニズムの解明に取り組み、それによって得られる知見に基づいて、従来の蓄エネルギーセラミックスを凌駕する高蓄エネルギー密度と急速充放電性を共に備えた革新的な新材料を創製する。
該当年度は、主に以下の成果を得た。①チタン石型化合物における網羅的なセラミックス試料作製と誘電/分極特性の温度依存性の評価に取り組み、SrTiGeO5において、150kV/cmの電場印加によって誘電率が約2倍にまで上昇するという顕著な逆バイアス効果を見出した。また、電圧印加によって上昇した誘電率が少なくとも300kV/cmまで減少せず一定の値を示すという、従来のペロブスカイト型反強誘電体と著しく異なるユニークな振る舞いを示すことを明らかにした。②KNbSi2O7単結晶のSiサイトの一部をGeで置換した際の結晶構造や分極特性の変化を明らかにした。また、適切な焼結助剤を見出し、焼成条件を最適化することによりこれまでは困難であった緻密なKNbSi2O7セラミックスの作製を実現した。
また、結晶構造解析、第一原理計算、分光測定などを相補的に駆使し、ABO3+nMO2系化合物が示すユニークな逆バイアス特性の起源の解明に向けた研究を実施している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

チタン石型化合物については網羅的な組成スクリーニングと試料合成、系統的な物性評価によって、優れた特性を備えた新しい反強誘電体を見出すに至っている。見出した物質系を軸として、元素置換による特性最適化と、より優れた物性を示す新組成の探索を継続することによって、当初の研究目標の達成が強く見込まれる。薄膜を利用した逆バイアス特性の評価については、合成の条件が最適化されていないために、当初計画より遅れている。一方、KNbSi2O7系化合物については、各イオンサイトが結晶構造や特性に与える影響が明らかになってきた。また緻密なセラミックスを作製するためのプロセス条件が明らかになってきた。

今後の研究の推進方策

ABO3+nMO2系化合物の組成変化によって新たな反強/フェリ誘電体材料を探索するとともに、本研究で既に見出されている材料の反強/フェリ誘電性のメカニズムを解明するための研究を行う。特にSrTiGeO5における逆バイアス効果をさらに増強するための元素置換を網羅的に実施する。置換元素としては、Sr、Ti、Geサイトへの等価数元素の部分的置換をはじめとして、2種類の異価数元素の共置換に至るまでを高範囲に探索する。合成したセラミックス試料に関して、誘電/分極特性の系統的な評価を実施し、組成と物性の相関に関する知見を得る。また、SrTiGeO5および新たに見出される有望組成に関して単結晶試料を育成し、物性の異方性の精密評価を実施する。加えて、チタン石型化合物の高品質薄膜を作製することで、バルクでは印加できない高電圧領域における逆バイアス効果の評価を行っていく。一方、KNbSi2O7系化合物については、セラミックスで元素置換効果を検討し、絶縁破壊強度等も検討しながら、畜エネルギーセラミックスとしてのポテンシャルを評価していく。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 審査結果の所見   実施状況報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Antiferroelectricity of titanite-type oxide SrTiGeO5 and its potential for power electronics applications2024

    • 著者名/発表者名
      Toshiya Uohashi, Taro Kuwano, Manabu Hagiwara, Kenji Natori, Kazuhiko Deguchi, and Hiroki Taniguchi
    • 雑誌名

      Applied Physics Letters

      巻: 124 号: 18 ページ: 182901-182901

    • DOI

      10.1063/5.0204239

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effect of Ta substitution on the ferroelectric-antiferroelectric phase transition in tetragonal tungsten bronze-type K<sub>2</sub>NdNb<sub>5</sub>O<sub>15</sub>2023

    • 著者名/発表者名
      Hodaka Abe, Sou Yasuhara, Takaaki Tsurumi, Takuya Hoshina
    • 雑誌名

      Journal of the Ceramic Society of Japan

      巻: 131 号: 7 ページ: 189-194

    • DOI

      10.2109/jcersj2.22161

    • ISSN
      1348-6535, 1882-0743
    • 年月日
      2023-07-01
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 広帯域誘電スペクトロスコピーによる誘電分極機構の解明2024

    • 著者名/発表者名
      保科拓也
    • 学会等名
      日本セラミックス協会2024年年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] KNb(GexSi1-x)2O7単結晶の構造解析と誘電特性評価2023

    • 著者名/発表者名
      菅幸生,安原颯,鶴見敬章,保科拓也
    • 学会等名
      日本セラミックス協会第61回セラミックス基礎科学討論会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] チタン石型酸化物における新規反強誘電体の探索2023

    • 著者名/発表者名
      魚橋毅也,桑野太郎,出口和彦,谷口博基
    • 学会等名
      セラミックス協会2023年年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] チタン石型酸化物CaTi(Si1-xGex)O5の分極特性2023

    • 著者名/発表者名
      渡邉匠海, 桑野太郎, 中埜彰俊, 横田紘子, 佐藤幸生, 出口和彦, 谷口博基
    • 学会等名
      日本物理学会 2023年春季大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] チタン石型酸化物CaTi(Si1-xGex)O5の放射光X線単結晶構造解析2023

    • 著者名/発表者名
      中埜彰俊, 佐藤大貴, 寺崎一郎, 谷口博基
    • 学会等名
      日本物理学会 2023年春季大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Elucidation of Dielectric Polarization Mechanism Using THz Spectroscopy2022

    • 著者名/発表者名
      Takuya Hoshina
    • 学会等名
      MS&T22
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Ferroelectric Properties of AgxK1-xNbSi2O7 Single Crystals2022

    • 著者名/発表者名
      Takuya Hoshina, Yukio Suga, Sou Yasuhara, Takaaki Tsurumi
    • 学会等名
      2022 US-Japan Seminar on Dielectric and Piezoelectric Ceramics
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2022-07-05   更新日: 2024-12-25  

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