研究課題/領域番号 |
22K18309
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
八木 政行 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00282971)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2024年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2023年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2022年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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キーワード | 窒素固定 / アンモニア生成カソード / 電気触媒 / アンモニア生成 / 窒素還元 / 混合金属酸化物膜 / 太陽光物質変換 / 触媒 |
研究開始時の研究の概要 |
持続可能社会に相応しい簡便なアンモニア合成法の確立はまさに人類の夢である。本研究では、化石燃料に依存しない脱炭素社会の実現に向けて、自然エネルギーを利用した革新的アンモニア生成法を開拓する。自然界のニトロゲナーゼ酵素に着目すると共に、申請者が独自に開発した膜作製法を用いて、様々な混合金属酸化物膜を合成し、アンモニア生成カソードを創製する。さらに、このカソードと申請者が合成した世界に類のない超低過電圧酸素発生アノードを用いて、世界最高効率の太陽光アンモニア生成システムの構築に挑戦する。本研究により、これまで化石燃料に依存していた化学肥料製造から、持続可能社会に相応しい製造への大変革が期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では、鉄のナノ粒子を担持したメソポーラス窒素含有炭素材料(Fe meso-NC)を新規に合成し、窒素還元触媒への応用を目指した。鉄は、安価な卑金属であることから、有望な窒素還元金属触媒として近年盛んに利用が進められている。1) 一方、メソポーラス窒素含有炭素は、電気伝導性に優れているだけでなく高い比表面積を有するため金属ナノ粒子の担体として有用であるのに加え、担持した金属と含有窒素との相互作用により触媒活性の向上が期待される。 鉄とHexadecyl-2-piridinyl-methylamine(PAL)のモル比率が1:3の前駆体を、異なる温度で焼成して得られるFe meso-NC粉末を各種測定により同定した。PXRD測定では、焼成温度を上げるにつれて炭化鉄に由来するピークが小さくなり、鉄単体のピークが大きくなることが明らかになった(Fig 1)。ラマン分光測定から、いずれの焼成温度においてもグラファイトの形成が明らかになり、焼成温度の上昇に伴いグラファイトの結晶性が向上することを見出した(Fig 1)。窒素吸脱着測定では、大きなBET比表面積(87-217 m2 g-1)と細孔(2-50 nm)の存在が確認された。以上の測定とSEM-EDSの結果から、Fe meso-NCが多孔性のメソポーラス構造を有する窒素含有炭素に鉄のナノ粒子が担持された材料であることを確認した。Fe meso-NCを用いて、アルカリ条件下で電気触媒化学的窒素還元を行った結果、9.2%のファラデー効率でアンモニアを生成することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で合成した鉄のナノ粒子を担持したメソポーラス窒素含有炭素材料は、有意なファラデー効率で、窒素から電気触媒化学的にアンモニアを生成することを見出した。これは、本研究分野に大きなインパクトを与える重要な結果である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、鉄とPALのモル比率を変化させて、鉄のナノ粒子を担持したメソポーラス窒素含有炭素材料の合成を進める。本材料のナノ構造を詳細に研究し、ナノ構造と触媒活性の関係を明らかにして、高効率なアンモニア生成触媒の開発を目指す。さらに、他の金属をドープすることにより、更に高効率な触媒の開発に挑戦する。
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