研究課題/領域番号 |
22K18310
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中野 貴由 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (30243182)
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研究分担者 |
松垣 あいら 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (10592529)
小笹 良輔 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (80845347)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2024年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
2023年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2022年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | バイオハイエントロピー合金 / 超急冷金属3Dプリンティング / BioHEA材料学 / 完全固溶状態 / 生体適合性 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は2017年に生体為害性(毒性)元素を含まないTi-Zr-Nb-Ta-Mo系生体用ハイエントロピー合金(BioHEAと命名)の創製に世界に先駆けて成功した。本研究では、超急冷金属3Dプリンティングを駆使することで理想的な完全固溶状態を持つ「真のBioHEA」の創製に挑戦するとともに、真のBioHEAの非線形的機能(超高強度・高延性・生体親和性等)発現機構の解明やその生体適用による『BioHEA材料学』ともいうべき新学術分野の開拓に挑戦する。
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研究実績の概要 |
理想的な完全固溶状態を実現した真のBioHEA の創製に挑むとともに、真のBioHEA が発揮する非線形的機能(超高強度・延性・生体親和性等)発現への学理構築を目指し、以下の具体的研究項目を実施した。 パラメータ法によるBioHEA の合金組成選択と生体非毒性元素の選択について、複数パラメータを複合的に活用した固溶体形成予測を行った。具体的には、(i) 混合のエントロピー、(ii) 混合のエンタルピー、(iii) デルタパラメータ、 (元素の原子半径比を表す指標)、(iv) オメガパラメータ、(v) Valence electron concentration (VEC 値)を指標とした元素選択を実施した。さらに生体毒性指標であるIC50(50%生化学的阻害作用有効濃度)を指標とした元素選択により、細胞接着・増殖性、抗菌作用を考慮した元素選択、あたかも生体硬組織としてふるまうBioHEA創製のための元素戦略による予測設計を実施した。設計した合金について、鋳造合金の生体適合性評価試験を実施した。 加えて、超急冷金属3Dプリンティングに必須な多成分系粉末の直接製造法の実現のために、融点差を考慮した溶解プロセス(大気溶解、真空溶解を含む)制御の方針確立に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
超急冷金属3Dプリンティングを駆使することで理想的な完全固溶状態を持つ「真のBioHEAの創製に挑戦」するとともに、真のBioHEAの非線形的機能(超高強度・高延性・生体親和性等)発現機構の解明やその生体適用による新学術分野『BioHEA材料学』構築を目指し研究課題を推進している。 初年度である今年度は、真のBioHEA創製のための元素選択、合金設計を実施し、当初想定を上回るスピードで、合金組成の決定、生体適合性評価を実施した。加えて次年度に向けて粉末作製のための制御因子のコントロールに着手しており、当初の計画以上に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までに見出した合金設計、生体適合性の付与に基づき、今後は以下の課題について推進する。 ①製粉プロセス(ガスアトマイズ法、水アトマイズ法を含む)制御、HIP処理との組み合わせによる球状・均一粉末作製、緻密度制御、粒度分布・流動性解析、サテライト制御。②超急冷金属3Dプリンティングの最適プロセス条件の選択とそれを精度よく推定可能とする機械学習用データベース構築。レーザ熱源照射に基づく溶融池形成・凝固シミュレーション。温度勾配、固液界面移動方向・速度の定量解析と、微細組織形成制御パラメータの決定。分子動力学法、第一原理法を駆使した結晶方位安定化条件の解析。③レーザ金属3DプリンティングによるBioHEA造形体作製。熱源条件・熱源走査戦略・投入熱エネルギー制御による機械学習用データベース構築に基づく微細組織、力学機能の人為的制御。④真のBioHEAにおける力学機能発現機構の解明。強制固溶による固溶体強化、結晶粒微細化、セル組織形成による強化機構の解明(SEM-EBSDによる微細組織解析、XRD相同定、高分解能TEMによる微細組織・転位解析)。⑤ 真のBioHEAにおける細胞学的・生物学的機能発現機構の解明。⑥骨芽細胞の短期・長期培養による細胞接着・骨形成能評価(免疫染色法によるタンパク質局在、RT-PCR・次世代シーケンサーによる遺伝子発現解析、遺伝子組み換えマウス細胞を用いた細胞応答解析)。⑦BioHEA/細胞界面での原子-遺伝子相互作用解明、バイオプリンティングによる細胞制御との複合化を駆使したBioHEAによる3次元細胞・組織機能制御、に取り組む。
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