研究課題/領域番号 |
22K18324
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分30:応用物理工学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
鍋川 康夫 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 専任研究員 (90344051)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2026年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 14,170千円 (直接経費: 10,900千円、間接経費: 3,270千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 非線形光学 / キャリア包絡線位相 / サブサイクル光パルス / 光学パラメトリック増幅 / 赤外光 / サブサイクルパルス / 短波長赤外 |
研究開始時の研究の概要 |
高強度の短波長赤外サブサイクルレーザーパルス光源の開発を行う。さらに、このレーザーシステムから出力光をベクトル偏光(径偏光・方位偏光)に変換し、新たな高強度物理現象の発現を目指す。レーザーシステムは特殊な波長にチューニングしたフェムト秒レーザーで励起するOPAをベースとしており、既に開発済みのOPAの改良する。ベクトル偏光ビームはOPAシステムの出力光の分割と合成により生成し、これをタイトフォーカスすることで生ずる焦点付近の特異な偏光状態をATI等で観測する。
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研究実績の概要 |
本年度はOPAシステムの改良のためのチタンサファイア増幅器を励起する為のグリーンレーザーの空間プロファイルを実測し、その結果をもとに最終段のマルチパス増幅器の設計を行った。実測したビームプロファイルは、レーザーヘッドの出口付近ではレーザー共振器に使用しているガウシアンカップラー特有のリング状の縞が現れるが、位置を徐々に出口から後に移動するとスムーズなフラットトップに近い形状となり、やがて上下左右の四隅に高強度の分布が現れるものとなった。この結果、フラットトップに近い形状のビームプロファイルを縮小イメージ転送してチタンサファイアを励起する設計とした。 この時、励起の平均パワーとビーム径の値から算出される熱レンズの焦点距離は4~5mとなり、最終段のマルチパス増幅器ではこの熱レンズの効果を補償しながら、常にチタンサファイア上で被増幅光のビーム径が励起光のビーム径に一致するようにマルチパスの配置を設計しなければならない。本研究ではこれまでの手法の欠点(ミラー上でビーム径が最小になり、ダメージによる制限が大きい)を改善した新たな光学素子配置を考案することができた。 これらの設計と並行して、現行レーザーシステムから得られるサブサイクル光を光渦に変換する研究も行なった。光渦は径偏光・方位角偏光と同様ビーム中心に位相特異点を持ち、軌道角運動量をもつレーザー光として多岐に渡る応用が期待されている。昨年度にサブサイクルガウシアン光を光渦変換にする光学系を考案したので、これを実際に構築した。また、変換された光が光渦であることを確認し、さらにキャリア包絡線位相(CEP)の変化に対する空間位相の変化を観測するために、新たな装置(2次元f-2f干渉計)を開発した。これにより、光渦に於いては本来時間軸で定義されているCEPが空間位相にも結合しており、分かち難い関係にあることを初めて実験的に示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の方法としては1~3年目に短波長赤外サブサイクルレーザーパルス光源開発を重点的に行なうこととしており、これに沿った進捗状況になっている。一方急激な円安と物価上昇のためチタンサファイア励起に用いるグリーンレーザーの仕様決定に時間がかかってしまったため、増幅器の構築に遅れが出ている。その一方、ベクトルビームと関連が深い光学渦ビームについて、ガウスモードのサブサイクル光を光渦に変換することに成功した。また新たに開発した2次元f-2f干渉計を用いて、光渦に於いてはキャリア包絡線位相(CEP)が時空軸の位相みならず空間位相とも結びついていることを初めて実験的に示すことに成功した。これらの成果は当初の見込みよりも大きく前進したものであるので、全体としては概ね順調な進捗状況と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きサブサイクルOPAを励起するためのチタンサファイアレーザーシステムの改良を進める予定であるが、調達したグリーンレーザーが初期不良による出力低下で修理を行わなければならなくなった。数ヶ月の時間を要する予定であるので、この間はチタンサファイアレーザーシステムの改良は行えない。そこで、現在実現しているサブサイクル光渦を用いた応用実験を行なっていく。固体からの高調波発生実験を候補の一つとして考えている。レーザーシステム構築後はベクトル光による高次高調波発生による孤立アト秒パルス(IAP)発生等も行う予定であるので、その予行練習として既存の高次高調波ビームラインを用いた応用実験も行う。現在アト秒パルスによる分子の光イオン化に際して生ずる、分子イオンと電子の間のコヒーレンスあるいはエンタングルメントが注目を集めており、これを一つのターゲットとして考えている。
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