研究課題/領域番号 |
22K18336
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分36:無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
古川 森也 北海道大学, 触媒科学研究所, 准教授 (10634983)
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研究分担者 |
野崎 智洋 東京工業大学, 工学院, 教授 (90283283)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2024年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2023年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | プラズマ触媒 / 合金触媒 / 合金反応場 / CO2還元 / プラズマ / 触媒 / 合金 / CO2 / 低温駆動 |
研究開始時の研究の概要 |
オゾン合成や空気清浄機などで広く産業応用されている「誘電体バリア放電」により反応管内にてプラズマを発生させ、高いエネルギーを持った分子(振動励起種)を反応場に供与することで反応系に電力由来のエネルギーを投入する。これにより、平衡を高転化率側にシフトさせることで熱触媒反応における平衡制約から脱却するとともに、分子の活性化を速度論的にも促進する。またプラズマ中(気相)に存在する高エネルギーの分子を高確率で固体表面上での触媒反応に誘導するため、活性金属の他に分子の吸着を促進する金属を第二元素として加える。さらに活性金属の反応性をチューニングし、反応速度を最大化するため適切な第三金属を導入する。
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研究実績の概要 |
本年度においては、研究代表者が開発したPd系合金触媒を、研究分担者が開発した流動床式プラズマ照射型反応装置内で反応ガスと反応させることで、金属の合金化がプラズマ触媒反応系において与える影響を検討した。その結果、PdとGaを合金化させたPd2Ga金属間化合物がプラズマを利用したCO2還元反応によるCO生成(逆水性シフト反応)おいて有効な触媒として機能することを見出した。具体的には、Pd2Ga/SiO2触媒は、熱反応においては300℃でCO2転化率が5%程度であるのに対し、誘電体バリア放電を用いたプラズマ中では転化率が32%にまで劇的に向上した。これは300℃における熱力学的平衡転化率である24%を上回る結果であり、プラズマによって還元反応が速度論的にも熱力学的にも促進されていることが判明した。一方でPd/SiO2ではプラズマによる促進効果はほとんど見られず、プラズマを効果的に作用させるために合金化による反応場設計が有効であることが実証された。さらにin-situ FT-IRおよびXAFS分析やDFT計算を用いた詳細な反応機構研究から、プラズマ中ではCO2が振動励起されることで反応が促進されること、さらにはCO2の振動励起だけでなく中間体であるformate種の分解過程にもプラズマが作用し、本過程を促進していることを示す結果も得られた。以上の様に実験だけでなく計算からも反応機構とプラズマの作用メカニズムを解明した点は国内外で高く評価され、本研究コンセプトの重要性と意義が実証された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記の成果は化学系のトップジャーナルに掲載され(J. Am. Chem. Soc., 2022, 144, 14140.)、所属大学からのプレスリリースも行われた。各機関より問い合わせがあり、本成果が高い反響を得ていることが示された。初年度において目的の成果(合金反応場がプラズマ触媒反応を促進することを実証すること、およびCO2還元で高効率な触媒系を見出したこと)を達成し、大きな反響を得たことは、当初の計画を上回る物であり、計画以上に進展していると判断して差し支えないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、当初の計画で予定していたプロパン脱水素の反応系に着手し、熱反応でより低温でプロピレンを製造できる触媒系の開発を目指すとともに、プラズマが作用する原理や、合金反応場がそれを促進するメカニズムの解明を進める。それにより、高効率な触媒系の開拓と、当初の触媒設計指針のコンセプト実証を行うとともに、本研究分野における学理構築を推進する。またそれ以外の反応系にも展開し、CO2の有効利用を志向した反応に着目する。例えば、CO2還元によるCO生成だけでなく、水素化反応によるメタネーションあるいは炭化水素のドライリフォーミングなど、社会的重要度の高い反応にもチャレンジしていく。
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