研究課題/領域番号 |
22K18340
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分37:生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
占部 大介 富山県立大学, 工学部, 教授 (80503515)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2027年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2026年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | 有機合成化学 / 全合成 / 天然物 / 遷移状態 / 計算化学 / DFT計算 / 天然物化学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、創薬リードとなりうる生物活性複雑中分子(天然物)の革新的な合成供給単純化を目指し、有機合成化学と計算化学を基盤とした高精度合成計画プログラムの構築とその計画に基づいた複雑天然物のコンピューター支援全合成を実施する。具体的には、1.半自動遷移状態探索プログラムの作成、2.コンピューター上での反応最適化法の確立、3.超複雑天然物のコンピューター支援全合成を実施する。
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研究実績の概要 |
半自動遷移状態探索プログラムの作成には、多様な化学反応の遷移状態探索が必須である。そこでR4年度は、典型金属を介したカルボアニオン反応の反応機構解析に取り組んだ。具体的には当研究室のアンフィジノリドLの合成研究で使用している立体制御アルドール反応の反応機構解析を実施した。遷移状態計算でよく利用されるimplicitモデルでは立体選択性の実験結果が再現できなかったため、explicitモデルによる遷移状態探索を行った。THF溶媒分子を多様な配位形式でLiイオンに配位させることで、実験結果を再現する遷移状態を得ることに成功した。反応解析には、より現実に近いexplicitモデルは有効であるが、溶媒の配位形式が不明であるため、反応の予測に適用させることは容易ではない、と考えている。今後、カルボアニオン反応を予測する一般的な手法の開発が必要である。 半自動遷移状態探索プログラムの作成に向けて、研究協力者によって、Gaussianなどの計算化学ソフトウェアの大量の入出力データを迅速かつ正確に処理できるpythonライブラリが開発された。本ライブラリにより、Diels-Alder反応などの簡単な反応の反応成否の予測、立体選択性の予測が可能になった。これまでに、Diels-Alder反応によるナキテルピオシンのCD環形成、2-アミノイミダゾール類の3環性骨格の構築の成否を本プログラムで評価し、プログラム上での基質構造の最適化を実施した。実際に反応が進行すると判断できる基質を合成しDiels-Alder反応を検討したところ、予想通り反応が進行した。また、立体選択性についても予測通りであることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
半自動遷移状態探索プログラムの作成には多様な化学反応の実験結果を再現する一般的な手法が必要になるため、時間を要すると予想していた。しかし、既に開発していた網羅的配座探索法と遷移状態計算を組み合わせた手法が、反応の成否の予想、立体選択性の予想に、思った以上にうまく機能することが分かった。この方法は大量のデータを処理する煩雑さが問題であったが、研究協力者が作成したpythonライブラリがこの問題を解決した。現段階では比較的容易なDiels-Alder反応への適用ではあるものの、実際にプログラムの運用と合成による評価に至ったのは大きな成果である。
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今後の研究の推進方策 |
半自動遷移状態探索プログラムの適用範囲拡大を視野に入れ、当研究室の天然物合成研究で既に実施済みである遷移金属を利用したエーテル環化の遷移状態計算を行い、実験結果と計算結果の整合性を評価する。この計算では、研究協力者が開発したpythonライブラリを活用し、未知反応の予測を念頭に置いた遷移状態探索を実施する。また、前年度、本プログラムで反応が進行することを予測し、実際に合成して得た化合物から、2-アミノイミダゾール天然物であるアゲリフェリンの全合成を完了させる。鍵反応となる立体選択的Diels-Alder反応により、主骨格を構築できているため、極性官能基の導入と脱保護を経てアゲリフェリンを全合成する。
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