研究課題/領域番号 |
22K18343
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
黒田 俊一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (60263406)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2024年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2023年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2022年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
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キーワード | 嗅覚受容体 / 匂いセンサー / ヒト嗅覚受容体 / ヒト嗅覚レパートリー / 嗅覚DX |
研究開始時の研究の概要 |
ヒト嗅覚受容体レパートリーを解明して、ヒト嗅覚のにおい分子認識機構をリガンド・レセプターの関係で解析することは、どのようなにおい分子情報が、嗅神経を介して、嗅球を経て情動を司る扁桃体、記憶を司る海馬、自律神経を司る視床下部に作用するのかを理解するための基本データである。そのため、数多くの研究が世界中で行われているが、全388種類のヒトORのにおい分子に対する応答を同じ条件で同時に、また高速(15分以内)に測定する方法は存在していなかった。我々のヒト嗅覚受容体セルアレイセンサーは、その致命的な欠点を世界で初めて克服したものであり、これまでのヒト嗅覚研究に全く新しい知見をもたらすものと考えている。
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研究実績の概要 |
1)ヒト嗅覚受容体発現系の改良:今までにヒト嗅覚受容体発現で多くのシャペロンなどが検討されたが、依然として感度不足は解決されていない。今年度は、嗅覚受容体の正しい膜局在を促すシグナルペプチドを最適化した。頻用されているRhodopsinシグナルペプチドを、Lucy、リゾチーム、IL2由来ペプチド等への置換や融合を検討した。評価は嗅覚受容体応答で評価した。その結果、特定のシグナルペプチドが全ての嗅覚受容体の細胞表層発現および匂い分子応答を改善するものではないことが判明した。嗅覚受容体内部の構造に迫るアプローチが必要と推定された。 2)Caイオン検出系の改良:今まではGCaMP6sを用いてきたが、検出可能な細胞内Caイオン濃度は100nM前後である。OR応答による細胞内Caイオン上昇が予想より低い可能性があるので、さらに高感度(10nM前後)なCameleonやYC2.60(GFP/RFP,やCFP/YFP融合体によるFRET検出)を検討した。その結果、低いCaイオン濃度域で作動する蛍光タンパク質を使用してもSN比が悪化することが多く、細胞内Caイオン濃度変化での検出は限界があると考えられた。 3)各種阻害剤の検討:本センサーによるOR応答の定量は細胞内Ca濃度によるため、同濃度を最大化する阻害剤も同時に検討した。具体的な標的分子は、ORをリン酸化して脱感作するGRK3、cAMPを分解するPDE、Caイオン排出を行うNCX,PMCA、増加したCaイオンに応答して各種シグナル分子を抑制するCALM(カルモジュリン)とCAMKII(同依存性キナーゼ)とし、各阻害剤を単独もしくは組み合わせて検討した。その結果、PDEを阻害するIBMX、PMCAを阻害するカロキシンにシグナル増強効果が認められた。なお、GRK3阻害剤の検討は終了していない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度であるので、特に問題なく進行している。ただし、予想以上に匂い分子の検出感度を上昇させるのは難しいことを認識している。
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今後の研究の推進方策 |
申請書に従って、遅滞なく進める予定である。
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