研究課題/領域番号 |
22K18344
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
平野 展孝 日本大学, 工学部, 教授 (10409089)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2026年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2025年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 合成生物学 / 生合成経路 / 有用物質生産 / メタボロソーム / 細菌微小区画 |
研究開始時の研究の概要 |
大腸菌は、遺伝子組換えが容易なため、有用物質生産を目的とした合成生物学分野で多用されている。しかし、細胞内に膜で仕切られた細胞小器官がない原核細胞のため、生体分子の区画化が困難であり、細胞内在酵素による副産物生成や、酵素反応に必要な低分子化合物(補酵素)の一方的な消費、導入経路に係る物質の毒性・不安定性等により、十分な合成量が得られない場合も多々ある。本課題では、タンパク質によって正二十面体の殻構造を形成する細菌微小区画を用いて、補酵素再生経路を含む代謝経路全体を区画化することで、微小空間内での合成反応を持続可能にする人工的な代謝反応区画(メタボロソーム)の創出を目指す。
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研究実績の概要 |
原核細胞の大腸菌は、遺伝子組換えが容易なため、有用物質生産を目的とした合成生物学分野で多用されている。しかし、細胞内に膜で仕切られた細胞小器官がないため、生体分子の区画化が困難であり、内在経路への中間体流出や、外来経路による補酵素の一方的消費、外来経路に係る物質の毒性・不安定性、生合成酵素の失活等により、十分な合成量が得られない場合も多々ある。本研究課題では、蛋白質によって正二十面体の殻構造を形成する細菌微小区画を用いて、大腸菌細胞内において補酵素再生経路を含む代謝経路全体を区画化することで、内在経路への中間体流出を抑制し、微小空間内での生合成反応を持続可能にする人工的な代謝反応区画(メタボロソーム)の創出を目指す。天然の細菌微小区画を基に、より汎用性の高い補酵素再生系を持つ基盤微小区画を構築し、副産物生成や生合成酵素の失活が課題の有用物質生合成経路の区画最適化を行い、人工メタボロソームの分子設計基盤の確立を目指す。令和5年度は、組換え大腸菌で発現させた細菌微小区画の殻構造の形成を試験管内で確認するため、細菌微小区画の遠心分画による精製法の検討を行った。細菌微小区画回収画分に存在する微粒子の粒径を動的光散乱法によって測定した結果、細菌微小区画の粒径と同等の粒径約100 nmの微粒子の存在を確認した。また、細菌微小区画内への酵素充填率の向上を目的として、植物バイオマス分解酵素複合体の複合体形成機構を用いて、細菌微小区画へ蛋白質複合体を封入する系の構築を行った。今後、合成生物学分野において汎用性の高い補酵素再生経路を封入した細菌微小区画の構築を行い、代謝産物の生成を指標とした酵素封入確認を行ってゆく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
組換え大腸菌で発現した細菌微小区画の精製法検討に時間を要したため、細菌微小区画の粒径を試験管内の動的光散乱法によって確認し、植物バイオマス分解酵素複合体の複合体形成機構を用いて細菌微小区画内へ蛋白質複合体を封入する系の構築を行ったが、合成生物学分野において汎用性の高い補酵素再生経路を封入した細菌微小区画の形成を細胞内・試験管内で確認する実験に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、合成生物学分野において汎用性の高い補酵素再生経路を封入した細菌微小区画の形成を細胞内、並びに試験管内において確認する。具体的には、細菌微小区画の殻構造形成と酵素封入を細胞内で確認するため、中間体に細胞毒性を有する物質を含む代謝経路を封入することにより、細胞内で発現させた際の組換え大腸菌の生育への影響を検討する。また、細菌微小区画の殻構造形成と酵素封入を試験管内で確認するため、補酵素再生を必要とする代謝経路を封入することにより、試験管内において補酵素添加の有無による代謝産物の生成効率への影響を検討する。最終的には、副産物生成や生合成酵素の失活が課題となっている汎用化成品原料の生合成経路を、微小区画を用いて区画化した際の、中間体・副産物・目的産物の生合成量を比較することで、代謝酵素の集積・近接・区画化の効果を総合的に検証し、原核細胞内における人工的な代謝反応区画(メタボロソーム)の分子設計基盤の確立を目指す。
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