研究課題/領域番号 |
22K18358
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
廣瀬 謙造 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (00292730)
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研究分担者 |
大久保 洋平 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40422282)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2024年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2023年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2022年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | 単分子イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、生理機能を担うシグナルの素過程の解明に道を拓く長時間の単分子イメージングと、組織・臓器での単分子イメージングを実現する。これによって、多様な生命現象の素過程を明らかにする技術基盤として単分子イメージング技術を確立する。具体的には、1)長時間に亘る連続的な細胞機能の変化や、薬物応答などを十分に追跡できる分~時間のタイムスケールで長時間の単分子イメージングを可能にする蛍光標識技術を開発する。2)臓器・組織を標本として、単分子レベルの動態解析を可能にする蛍光標識技術を開発する。
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研究実績の概要 |
令和4年度に開発、最適化したDeQODEシステムを実際に生細胞でのイメージングに供し、単分子イメージング実験を実施した。まずはカバーガラス上に培養したCOS7細胞でのテストを実施した。COS7細胞に発現させたCadherin-11やSyntaxin-1AにDeQODEタグを付加した融合蛋白質を発現させて単分子由来の輝点の明るさや、寿命、シグナル輝度のバックグラウンド比を評価した。また、標本に負荷するQODEプローブの濃度と輝点の数、密度との関係についても調べ、可視化対象分子ごとに最適なQODEプローブの濃度を決定した。 続いて、マウス脳スライスでの単分子イメージング基礎となる要素技術の最適化に取り組んだ。まず、DeQODEタグを付加した融合蛋白質を発現させるためのアデノ随伴ウイルスベクターの作成し、急性脳スライス標本を用いたテストイメージンを実施した。標本作製においては、DeQODEタグを付加した融合蛋白質を近赤外蛍光ライトシート顕微鏡での観察に適した標本となるようにアデノ随伴ウイルスの脳へのインジェクション条件を調べるとともに、ライトシート顕微鏡での観察に適した脳スライスの作成条件を最適化した。また、実際の脳スライス標本を用いて、厚みのある標本での低バックグランドでの撮像を実現するためのライトシート顕微鏡の光学系のセットアップを最適化をほぼ完了し、本格的運用を開始できる段階に到達できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に実施を計画していた培養細胞でのDeQODEシステムの評価、ライトシート顕微鏡の整備、マウス脳スライス標本を用いたテストイメージングを計画通りに完了できたため。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度に本研究に必要な要素技術であるDeQODEシステムの最適化とライトシート顕微鏡の構築が完了したので、実際にマウス脳の急性スライス標本を用いた単分子計測に取り組む。具体的には、アデノ随伴ウイルスを用いてグルタミン酸受容体とDeQODEタグの融合タンパク質をマウス大脳皮質第2/3層または第5層錐体細胞に発現させる。急性脳スライス標本を作成後に、色素を適切な濃度で脳スライスに投与し、スライス深部(表面から数百マイクロメートル)の樹状突起スパインで色素の単分子輝点を近赤外二光子ライトシート顕微鏡で観察する。加えて、グルタミン酸受容体の動態の異常が指摘されているアルツハイマー病のモデルマウスの脳スライスにおいてもグルタミン酸受容体の単分子イメージングを行い、アルツハイマー病で惹起されるNMDAグルタミン酸受容体の運動について調べる。
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