研究課題/領域番号 |
22K18373
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分46:神経科学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
稲垣 成矩 九州大学, 医学研究院, 助教 (30827952)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 21,710千円 (直接経費: 16,700千円、間接経費: 5,010千円)
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キーワード | 組織透明化法 / 蛍光イメージング / 大規模計測 |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類のような複雑な生命システムを理解するためには、まずは組織・器官、そしてゆくゆくは個体全体を、単一細胞レベルの分解能で解析する必要がある。近年、組織透明化法が普及したことで、PFA固定した組織・器官においては、蛍光イメージングによる大規模な解析が可能になっている。しかし、固定標本を対象とした従来の手法では、動的な生命現象を理解することはできない。そこで本課題では、組織・器官を、生体外で“生きたまま”解析できる組織透明化法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
昨年度の実験により、生きた細胞を非侵襲的に透明化(ライブ透明化)可能な試薬Xの同定に成功した。当該年度では、この試薬Xを用いた応用実験を行った。 1. 試薬Xを溶解した培地の調整:試薬Xによるライブ透明化に最適な屈折率を決定した。また試薬Xを溶解した培地を等張にするために必要な元の培地の希釈率を決定した。また細胞の機能に干渉しないためのイオン組成を決定した。この試薬Xによる調整培地をSeeDB-Liveと命名した。 2. ex vivo組織における深部イメージング:SeeDB-Liveで透明化した培養細胞スフェロイドと急性脳スライスにおいて、蛍光イメージングを行ったところ、イメージング深度が二倍ほど向上することが分かった。また急性脳スライスにおいて、神経細胞の自発発火をカルシウムイメージングにより計測したところ、透明化前後で自発発火の振幅と振動数に違いは見られなかった。このことから、SeeDB-Liveは生きたex vivo組織を非侵襲的に透明化できることが分かった。 3. 動物個体における深部イメージング:麻酔下マウスの脳に蛍光標識したSeeDB-Liveを浸透させた後、凍結切片を作製し、SeeDB-Liveの浸透度を評価した。その結果、脳表から800 umにわたり、濃度勾配がありながらもSeeDB-Liveが浸透していることが確認できた。そこで次に、麻酔下マウスの脳にSeeDB-Liveを浸透させ、第五層錐体細胞の蛍光を観察した。その結果、第五層錐体細胞の樹状突起や、脳表から700-800 umに位置する細胞体を高いSNで観察することができた。このことから、SeeDB-Liveは生きた動物個体の組織を透明化できることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ライブ透明化の利点を、様々な種類の標本で示すことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ライブ透明化により、組織深部で膜電位イメージングが可能になるか検討する。またオルガノイドにおける深部観察が可能になるか検討する。
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