研究課題/領域番号 |
22K18378
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
森田 英嗣 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (70344653)
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研究分担者 |
角田 郁生 近畿大学, 医学部, 教授 (00261529)
田中 伸幸 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん先進治療開発研究部, 部長 (60280872)
蝦名 博貴 大阪大学, 微生物病研究所, 特任准教授(常勤) (60541951)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2024年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2023年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2022年度: 10,660千円 (直接経費: 8,200千円、間接経費: 2,460千円)
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キーワード | EPN / 被膜微粒子ワクチン / SARS-CoV-2 / タンパク質ナノ粒子ワクチン / 細胞性免疫誘導型ワクチン / 粘膜免疫誘導型ワクチン |
研究開始時の研究の概要 |
エンベロープウイルスの出芽機構を利用した自己集合型蛋白質ナノ粒子の被膜化技術、細胞質への蛋白質ナノ粒子の送達技術の開発を進め、SARS-CoV-2抗原を持つ被膜蛋白質ナノ粒子 (EPN: enveloped protein nanoparticle) のCTL誘導型ワクチンへの応用を目指す。ナノ粒子に付与する被膜化モジュールの改良を行いEPN産生の効率化を進める共に、ナノ粒子の細胞質送達率の向上を目指す。また、経鼻免疫やアジュバンドの改良を進め、細胞性免疫のみならず粘膜免疫誘導型のワクチンの開発を進める。また、ハムスターを用いたウイルス感染実験によりワクチン効果について検証を進める。
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研究実績の概要 |
項目1: EPNワクチンの改良: これまでのEPNワクチンについて改良を進め、フェリチン核を除き、Nタンパク質のRNA結合領域を欠損させた被膜粒子に改良することで、粒子形成効率が著しく改善することを見出した。 項目2: EPNワクチン経鼻接種による粘膜免疫誘導能の評価: SARS-CoV-2ナノ粒子ワクチンを、アジュバントの存在下でマウスに経鼻投与を行った。ナノ粒子単独投与群よりもアジュバント併用群において,鼻腔洗浄液および気管支肺胞洗浄液中に抗ウイルスIgA抗体・IgG抗体が高く誘導されることを見出した。粘膜免疫誘導には、腸内細菌叢が重要な役割を果たしているが、アジュバント単独投与群でも腸内細菌叢と抗体アイソタイプに変化がおこることを明らかにした。 項目3: EPNワクチンのCTL誘導能の評価と生体内動態解析: 本年度は、SARS-CoV-2 SあるいはNを発現させたDC2.4/SARS-CoV-S細胞、DC2.4/SARS-CoV-N細胞におけるウイルス抗原の発現をウエスタンブロット法で確認した。一方、SARS-CoV-2特異的CD8+CTLの誘導を指標としたSARS2-EPNの評価を行うため、陽性コントロールを用いた実験系の構築を進めた。OVA抗原特異的TCRトランスジェニックマウス(OT-I)を用いてCD8+T細胞応答をCSFEラベルFACS法にて確認した。 項目4: SARS-CoV-2感染に対するEPNワクチンの機能評価: SARS-CoV-2ワクチンの有効性をより詳細に評価するため、ヒトACE2を全身に発現するTgマウスを新たに導入し、SARS-CoV-2の感染モデルを立ち上げた。このTgマウス感染モデルを用いることで、ワクチンの感染防御効果をマウスの生存率にて迅速に評価可能となり、また、EPNワクチンの強みであると予想されるCTL誘導の評価も可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EPNの改良が進み、産生効率を上昇させることに成功している。また、アジュバント併用群において,鼻腔洗浄液および気管支肺胞洗浄液中に抗ウイルスIgA抗体・IgG抗体が高く誘導されることを見出している。さらに、CTL活性測定実験の構築に成功しており、トランスジェニックマウスを用いたin vivo感染評価系も確立することに成功している。
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今後の研究の推進方策 |
項目1: EPNワクチンの改良: R5年度は、さらなるEPNの粒子形成効率・粒子産生効率の改善を目指す。粒子出芽に必要なESCRTリクルート配列であるレイトドメインの改良、また、膜結合配列については細胞膜局在ドメイン(PLCδ-PH)や、エンドソーム局在ドメイン(HRS-FYVE)などを検討し改善を加える。 項目2: EPNワクチン経鼻接種による粘膜免疫誘導能の評価: R5年度では弘前大学で改良したEPNワクチンの粘膜免疫誘導能を検証する。また、R4年度ではアジュバント投与により腸内細菌叢と抗体アイソタイプ産生の変化がみられたため、粘膜IgA抗体産生を上げるためのアジュバントの最適化とそれに伴う腸内細菌叢の変化をモニターする。抗体産生と腸内細菌叢の関連分析には、探索型因子分析などのバイオインフォマティクス解析を行う。 項目3: EPNワクチンのCTL誘導能の評価と生体内動態解析: SARS2-EPNによる細胞性免疫の誘導能を検証する。SARS-CoV-S抗原を含有するEPNをマウスに経鼻あるいは皮下注にて投与した後にCD8+T細胞を採取し、同抗原を発現するDC2.4細胞による抗原認識と細胞分裂を解析する。 項目4: SARS-CoV-2感染に対するEPNワクチンの機能評価: R4年度に立ち上げたヒトACE2を全身に発現するトランスジェニックマウスを用いて、弘前大学で試作したEPNワクチンの有効性を感染防御効果により順次評価する予定である。EPNワクチンの強みであるCTLや粘膜免疫を介した感染防御効果を評価し、EPNワクチンの優位性について検討する。
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