研究課題/領域番号 |
22K18393
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分54:生体情報内科学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
小川 渉 神戸大学, 医学研究科, 教授 (40294219)
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研究分担者 |
和泉 自泰 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (70622166)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2024年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2023年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2022年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
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キーワード | メトホルミン / 腸管グルコース排泄 / 腸内細菌 / 短鎖脂肪酸 / 腸内細菌叢 |
研究開始時の研究の概要 |
最近、我々は糖尿病治療薬メトホルミンが腸管内腔へのグルコース排泄を促進することを見出した。本研究計画では腸管内腔グルコース排泄の糖代謝恒常性維持機構における意義を明らかとすることを目指す。具体的にはヒトでグルコースクランプによって測定した詳細な代謝パラメータ、腸管内グルコース排泄量、腸内細菌叢やグルコース由来代謝物の変化についての情報を統合的に解析し、腸管内腔グルコース排泄がどのような現象と関わるかを明らかにする。また、マウスに安定同位体13C標識グルコースを静脈投与した後、糞便及び血漿試料中の標識グルコース代謝物を定量解析し、血中から腸管へ排泄されたグルコースの動態を明らかとする。
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研究実績の概要 |
本研究では、代表者が見出した糖尿病治療薬メトホルミンが腸管内腔へのグルコース排泄を促進するという新知見に基づき、腸管内腔グルコース排泄の糖代謝恒常性維持機構における意義を明らかとすることを目指す。 まずPET-MRIを用いて経静脈的に投与した18F-FDGの腸管内腔の移動速度を定量する方法を確立した。18F-FDGの移動量を2コンパートメントモデルによって解析することにより、グルコースの腸管内への移動量を推定した。その結果、メトホルミン服用群で時間当たり約1.6g、非服用群では時間当たり0.4gのグルコースが腸管内に排泄されることを明らかとした。また、正常血糖高インスリンクランプ中に経口的にグルコースを負荷することにより、経口的に摂取したグルコースの肝臓への取り込み能を推定できるグルコースクランプ法(Clamp-oral glucose load: Clamp OGL) のプロトコールを確立した。メトホルミンまたは対照薬を服用する2型糖尿病患者に対して、Clamp OGL及びPET-MRIによる腸管内グルコース排泄定量を実施する無作為ランダム化臨床試験を開始し、予定試験患者数の約90%のリクルートを終了した。 マウスに安定同位体13C標識グルコースを静脈投与した後、糞便及び血漿試料を質量分析に供し、グルコース代謝物の定量と安定同位体標識化率を算出することを試みた。糞便中に13C標識グルコースは検出されなかったが、プロピオン酸、酪酸、酢酸などの短鎖脂肪酸の13C標識率は増加し、メトホルミン投与によってプロピオン酸の13C標識率は更に増加し、酢酸や酪酸においても増加傾向を認めた。この結果から、血中のグルコースは腸管内に移動し、腸内細菌によって短鎖脂肪酸へと代謝されることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
課題の核心をなす臨床試験での評価法であるClamp OGL及びPET-MRIによる腸管内グルコース排泄定量を確立し、予定通り試験の開始に至った。また、試験の進捗は順調であり、予定より早い時期に解析が実施可能と考えられる。 マウスを用いた13C標識グルコース代謝物の実験計画も順調に進捗した。従来、短鎖脂肪酸は宿主が摂取した難消化性食物線維を腸内細菌が代謝して産生すると考えられてきたが、宿主が自ら腸管内に排泄したグルコースからも産生されるという、新規な生命現象を明らかにするに至ったことは、大きな成果である。
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今後の研究の推進方策 |
臨床試験については更に症例の組み入れを進めす。試験完遂後にClamp OGLデータとPET-MRIによる腸管内グルコース排泄定量データを比較検討するとともに、糞便中の腸内細菌叢や腸内細菌叢代謝物の変化などの解析を通じて、腸管内腔グルコース排泄の糖代謝恒常性維持機構における意義を明らかとすることを目指す。
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