研究課題/領域番号 |
22K18395
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分55:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
八木 洋 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20327547)
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研究分担者 |
谷口 英樹 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70292555)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2024年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
2023年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
2022年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | 細胞外マトリックス / 肝臓再生 / 肝芽 / 生体材料 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は二つの異なるAMED事業の成果を元に、独自の肝臓脱細胞化+液状化技術を新しい「足場材」に応用し、iPS細胞研究の進化系として現在最も高い臓器レベルでの機能を持つオルガノイドに対して、飛躍的な体内生着性・機能維持の向上と治療効果の最大化を果たすものである。 これにより再生医療研究が抱える最大の問題を解消し、社会から真に求められる再生医療の実現化を加速させ、新しい価値の創造を目指す、かつてない異分野技術融合による挑戦的かつ社会的意義の非常に大きな研究である。
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研究実績の概要 |
目的:本研究の最大の目的は再生医療に対して社会が切望しているニーズに答え、網膜や脊髄など小範囲に限られる現状を打破し、治療対象を飛躍的に拡大するために、現在大きな障壁となっている「体内での細胞生着と機能維持」を向上させる新しい基盤技術を開発することである。本研究成果によって、臓器を構成するヒトiPS細胞由来の複数の細胞から樹立したオルガノイドを大量かつ目的箇所へ効果的に移植し、安定して生着・機能させる方法が確立されれば、本研究が対象とする肝臓のみならず腎臓、膵臓(糖尿病)、心臓(心筋梗塞)等の重要臓器を含む多様な組織障害・欠損に対し、治療戦略を根本的に替え得る画期的な再生医療技術の確立が期待される。 実績:分担者東京大学谷口の元で肝臓オルガノイドを作製し、2週間に1回のペースで代表機関に人的に輸送するシステムを構築した。その結果オルガノイドを、Day1からDay8の異なる条件で作製し、三次元培養プレートを用いて代表機関に安定的に輸送することが可能となった。代表機関に運搬した肝臓オルガノイドは三次元培養プレートを用いて培養を維持し、回収後に組織学的解析、タンパク分析を実施した。In vitro/in vivo解析では、現在Gold StandardであるMatrigelと比較して同等以上のオルガノイド機能が発現し、通常培養下のオルガノイドと比較しても、ゲル化前の脱細胞化骨格内で培養したオルガノイドで肝細胞機能の向上が見られた。更に肝臓オルガノイドをゲル化前の脱細胞化骨格に包埋し、免疫不全(NOG)マウス肝臓近傍に移植したところ、体内での生着性の向上が確認された。以上の成果から本研究によって新しい脱細胞化ゲルが体内における肝臓オルガノイドの機能維持・向上に寄与することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度計画通り、まず分担者東京大学谷口の元で肝臓オルガノイドを作製し、2週間に1回のペースで代表機関に人的に輸送するシステムを構築した。その結果オルガノイドを、Day1からDay8の異なる条件で作製し、三次元培養プレートを用いて代表機関に安定的に輸送することが可能となった。代表機関に運搬した肝臓オルガノイドは三次元培養プレートを用いて培養を維持し、回収後に組織学的解析、タンパク分析を実施した。In vitro/in vivo解析では、現在Gold StandardであるMatrigelと比較して同等以上のオルガノイド機能が発現し、通常培養下のオルガノイドと比較しても、ゲル化前の脱細胞化骨格内で培養したオルガノイドで肝細胞機能の向上が見られた。更に肝臓オルガノイドをゲル化前の脱細胞化骨格に包埋し、免疫不全(NOG)マウス肝臓近傍に移植したところ、体内での生着性の向上が確認された。以上、当初計画通りに当該年度計画が達成され、これらの成果から今後2年度、3年度に実施予定の、有効性検証を含む本研究成果によって、新しい脱細胞化ゲルが体内における肝臓オルガノイドの機能維持・向上に寄与し、新たな治療選択肢となり得ることが示されると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今後、当初計画通り、まずマイクロ流体デバイスを用いた解析系でタイムラプス観察(準備実験済)を行うなど肝芽機能を経時的に解析する。更に培養後のSingle Cell RNA解析を行ってiPS肝芽の変化を分析し、肝芽機能を最大化する脱細胞化ゲル条件を確立する。その上で、免疫不全マウス/ラットの肝部分切除領域に脱細胞化ゲル+iPS肝芽を移植し生着性/機能を評価し、更に胸腺摘除+免疫抑制剤を使用したマイクロミニブタに肝部分切除を施して、脱細胞化ゲル+iPS肝芽を移植する。最終的にThioacetamide(TAA)の皮下投与によって肝線維化モデルを作製し(サル/ラットで実績)、肝部分切除および脾臓内注入による移植を実施し、詳細に評価すると共に、肝障害・肝線維化(肝硬変)に対する治療効果を示す予定である。
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