研究課題/領域番号 |
22K18422
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分62:応用情報学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
河口 信夫 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10273286)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2025年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2024年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2023年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2022年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | データ駆動 / デジタルツイン / 実世界モデリング / 深層学習 / 状態遷移モデル |
研究開始時の研究の概要 |
多様なセンシング技術による実世界のデータ化が可能になりつつあるが「価値を生み出す施策」の実現は容易ではない。多様な施策を検証するには、マルチエージェントシミュレーションの活用が望まれるがモデル構築が高コストとなる。本研究では、データ駆動により、深層学習を用いて実世界モデリングを行い、状態遷移モデルに縮退して、多様な施策を試行可能なデジタルツインを構築する手法を実現する。深層モデルは説明性が低いため、説明可能性とチューニング性を獲得するために、状態遷移モデルを導入する。さらに、深層モデルから状態遷移モデルへの縮退により、高度で説明可能なシミュレーションの実現を目指す。
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研究実績の概要 |
多様なセンシング技術による実世界のデータ化が可能になりつつあるが、単なる画像やセンシング値からは「価値を生み出す施策」の実現は容易ではない。実環境に有用な施策を検証するには、作業者や対象物をオブジェクトやエージェントとしてとらえ、マルチエージェントシミュレーションとして実現することが望まれるがモデル構築のコストが高いことが課題である。 本研究では、データ駆動に基づいて実世界モデリングを行う手法を検討している。そのためには、まず、実世界データを大規模に取得する必要がある。今年度は、我々が有する物流倉庫カメラ基盤を通じて60台のカメラから2400時間を超える実世界データの収集を行い、これらの分析を進めた。作業員の認識はある程度は可能であるが、複数のカメラ間での連携についての検討を進めている。また、多種多様な荷物が登場するため、従来型の認識技術では十分な精度が期待できないため、新たなモデル化手法に取り組んでいる。 得られた人や荷物の移動データを用いて物流倉庫内のエージェントモデルの構築を進めているが、荷物を仮置きする場所に応じて異なる意図があるため、作業者へのヒアリングなどを通じて、モデル化に必要な要素の明確化を進めている。。特に作業者の作業モードが得られたデータのみでは十分に認識できていない場合には、倉庫管理システム(WMS)などからの情報を付与してデータ統合を行う枠組みの検討を進める必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現場でのカメラ基盤を通じたデータ収集の枠組みは順調に進捗しているが、データ量が200テラバイトを超えており、情報処理の規模が大きくなっている。大量のカメラデータを認識して統合する計算量が膨大であり、実時間では十分に処理できないのが現状である。これについては、処理方法の検討が必要と考えている。また、大量にデータ化を行うためにも、人や荷物の認識精度が重要であるが、人の認識と比較して荷物の認識精度が十分に向上しておらず、モデル化を進める段階の前で性能向上が必要であると認識している。
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今後の研究の推進方策 |
実世界データに基づき、デジタルツインを構築するためには、①実世界データ収集、②オブジェクト同定、③空間制約推定、④相互作用推定、⑤実世界モデリング、⑥状態遷移モデルへの縮退、⑦状態遷移モデルによるシミュレーション、に関する研究を実施する必要がある。現時点では、①②の実施を中心として進めており、今後は③~⑦の研究開発を推進する予定である。以下では、③~⑥について説明する。 ③ 空間制約推定:②で同定された車両やロボット・人・荷物といったオブジェクトに対し、その空間的制約を推定・追加する機能を構築する。具体的には、道路や壁、ドア、エレベータなどの制約条件を提供する。 ④ 相互作用推定:搭乗や接触、運搬といったオブジェクト間の相互作用を推定し、その情報を深層学習に提供する。ドメイン毎にある程度は事前知識として提供可能であるが、細かな相互作用についてはデータに基づく推定を行う。 ⑤ 深層学習による実世界モデリング:CNN/LSTMなどを用いて特徴量推定と時系列モデル推定を行う。入力としては、初期段階ではオブジェクト毎の位置・空間制約・相互作用を想定しており、出力としてはオブジェクトの位置や方向・速度を想定している。 ⑥ 深層学習モデルから状態遷移モデルへの縮退変換:CNN/LSTMモデルは、表現力が高いため、異なるオブジェクトも同一のモデルで表現できる場合がある。一方、本研究で想定する状態遷移モデルは、異なるオブジェクトは異なる状態遷移表を持つこととする。また、オブジェクト種別毎に必要な状態数や、パラメータ範囲など、状態遷移モデルを推定する枠組みも構築する。さらに、特別な例外など、学習データからは状態遷移上で存在しない状態系列なども追加できる仕組みを導入して、シミュレーションでの利用を汎化する。
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