研究課題/領域番号 |
22K18424
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分62:応用情報学およびその関連分野
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
伊藤 雄一 青山学院大学, 理工学部, 教授 (40359857)
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研究分担者 |
鳴海 拓志 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (70614353)
菅原 徹 大阪大学, 産業科学研究所, 招へい教授 (20622038)
伊庭野 健造 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (80647470)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
25,740千円 (直接経費: 19,800千円、間接経費: 5,940千円)
2025年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2024年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2023年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | ヒューマンインタフェース / クロスモーダル / 味覚制御 / 食体験創出 / 食器型感覚提示デバイス |
研究開始時の研究の概要 |
食体験を情報技術や認知科学の知見によって拡張・支援する試みがなされている.一方,食事の温度の制御(温度覚)や食器から得られる触覚の味覚への影響についてはこれまで検討されておらず,職人の勘に頼っているのが現状である.そこで(1)様々な食器型感覚提示デバイスを開発し,これを用いて食材の温度を正確に制御したり,食材の触感を操作し,(2)味覚に対する知覚影響を認知工学的アプローチによって解明する.さらに(3)複数の知覚提示による味覚に対するクロスモーダル知覚現象創出を試み,得られた知見を実際の食事に適用することで,食体験を向上させる.
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研究実績の概要 |
本課題は(テーマ1)様々な食器型感覚提示デバイスを開発することで、例えば食材の触感や温度をコンピュータによって操作し、開発した装置を用いて(テーマ2)新たに生み出された感覚の味覚に対する知覚影響を認知工学的アプローチによって解明する.(テーマ3)さらに感覚を複数組み合わせて提示することで、味覚におけるクロスモーダル知覚現象を創出できるか試み、実際の食事に適用することで、新たな食体験を創出することを目的とする. 本年度はテーマ1およびテーマ2の一例としてまず、飲み口部分の温度をコンピュータによって自由に変更可能なタンブラー型デバイスのプロトタイプを実装した。プロトタイプでは、飲み口部分にアルミのヒートパイプを設置し、そのパイプに温度を発熱・吸熱を制御可能なペルチェ素子を配置し、動的に温度を変更できるようにした。性能評価を実施したところ、4度から65度程度の範囲まで正確に温度を提示することができた。次に、下唇に対して温度を提示することで飲料の味覚や飲料体験がどのように変わるかを調査した。その結果、冷却飲料と常温飲料では、タンブラーの飲み口を冷却すると「のど越し」「おいしさ」「心地よさ」が増すことが明らかになった。また、下唇周辺への温度提示によって、リンゴジュースでは「甘味」、オレンジジュースでは「酸味」において変化があり、これらの結果から、下唇周辺への温度提示によって飲料の持つ基本五味を強調できることが分かった。そして、調味料や添加物に頼らずに飲料自体が持つ本来の味をより際立たせることが可能であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初設定していた3テーマのうちの2つであるテーマ1とテーマ2に関して、デバイスのプロタイプ実装および被験者実験を実施し、温度提示(温度覚)が味覚に与える影響を調査できたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は研究テーマ1と2において、飲料に対して味覚と食体験が温度覚の提示によってどのような影響が与えられるかを調査した。今後は、さらに細かく温度を変更していったときに飲料体験がどのように変化するかを調査する一方で、舌触りといった触覚を提示する改良をタンブラー型デバイスに施し、例えば飲料のテクスチャを柔らかくするなど変化させたときに、その味覚や食体験がどのように変化するかを検討する。さらに飲料だけではなく、半固形や、固形の食料に対して、温度覚や触覚を変更することで飲料と同様に味覚や食体験にどのような影響が与えられるかの検討も進める。
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