研究課題/領域番号 |
22K18427
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
風呂田 郷史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (30804778)
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研究分担者 |
辻村 清也 筑波大学, 数理物質系, 教授 (30362429)
延 優 (NOBUMASARU・KONISHI) 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門, 主任研究員 (40805644)
金子 雅紀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (80633239)
五十嵐 健輔 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (90759945)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2024年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2023年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2022年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | 地下生命圏 / 炭素循環 / 生物地球化学 / 電気化学 / 有機地球化学 |
研究開始時の研究の概要 |
生命活動の根幹は「電子の授受」による代謝である。従来の研究手法では、生命活動の「静止画」を一時的な物質の存在量から捉えることしか出来ておらず、実環境における生命活動の『速度』を動的に直接捉える方法はない。本研究では、電気化学技術を用いて地下微生物の代謝活性度を電流として直接的に定量する方法を構築する。その技術を最先端のゲノム解析技術と融合させ、主要な代謝系の『経路』と『速度』を可視化する革新的研究手法の開発に挑戦する。それにより、微生物活動を「静止画」で捉えてきた地下生命圏研究の構造を「動的」に捉える構造へとパラダイムシフトさせ、地下生命圏が駆動する炭素循環を速度論に評価することを可能にする。
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研究実績の概要 |
生命活動の根幹は「電子の授受」による代謝である。従来の生物学的、分析化学的手法では、生命活動の「静止画」を一時的な物質の存在量から観測することしか出来ておらず、実際の自然環境における生命活動の『速度』を動的に直接捉える方法は皆無である。本研究では、微生物の細胞外電流測定を突破口に、推定すら困難な地下生命圏の微生物代謝速度測定を可能にすることを目指す。当該年度は、昨年度から継続して細胞外電流を高い確度と精度で測定するための基礎的な電流測定実験と修飾電極開発に向けて酵素を介した分子の電極反応実験を実施した。電流測定実験は、野外環境から採取した堆積物のバルク培養を中心に実施した。その結果から、最適な電流測定の条件検討(電極素材・形状、印加電位など)を行い、微生物の代謝速度(培養系の代謝産物の生成速度)と正の相関関係を示す電流測定に一部成功した。その成果に基づき、自然環境である水田において実地試験を開始した。電流測定が成功している培養系に関してはゲノム解析も進めたが、PCトラブルにより解析を完了することができていない。次年度以降はゲノム技術と融合してさらなる技術発展に挑戦する予定である。修飾電極開発では、修飾剤の候補となるメディエーターや酵素の選定を行い、メタン生成菌が電子運搬体として利用する補酵素F420の電極反応系の確立に世界で初めて成功した。現在、電極へのメディエーターや酵素の固定方法を検討している。今後は、確立した技術を基礎に修飾電極を開発することで、メタン生成菌の代謝速度の選択的な測定に挑戦していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記した通り、一部の培養系では代謝活速度と正の相関関係を示す電流測定に成功している。その技術に基づき、自然環境での実地試験も開始しており、概ね順当に進んでいる。一方で、ゲノム解析に関してはPCトラブル等により遅れが生じている。修飾電極開発では、基礎実験を通じて補酵素F420の電極反応系の確立に世界で初めて成功した。この技術に基づいた修飾電極の開発を進めることで、メタン生成菌の代謝速度を高い精度と確度で測定できるようになる可能性がある。以上のように、一部では遅れが出てるものの「おおむね順調に進展している」と評価できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
一部の培養系では微生物代謝速度と正の相関関係を示す電流測定に成功している。その技術に基づき、既に自然環境での実地試験を開始している。次年度は、ラボスケールの培養実験結果と実地試験の結果をとりまとめることで、自然環境における微生物代謝速度の測定法の確立と論文化を目指す。また、ゲノム解析技術と融合することで、得られた電流値を系全体の代謝速度に逆算する方法論を検討する。修飾電極開発においては、確立した補酵素F420の電極反応系に基づいた酵素電極の設計を完了させる。特に、電極表面にメディエーターと酵素を固定する方法を確立する。開発する修飾電極の実用性はラボスケールの培養実験を通じて検証していく。
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