研究課題/領域番号 |
22K18438
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関野 正樹 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (20401036)
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研究分担者 |
伏見 幹史 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (50907938)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2025年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 生体計測 |
研究開始時の研究の概要 |
脳磁図は神経活動を直接的かつ非接触で計測することができ、スカラー計測の脳波と異なりベクトル計測のため脳内活動源の推定精度が高い点も優れている。しかし脳から生じる磁場がサブピコテスラと極めて微弱であるため、大型のシールドルームを必要とし、応用の幅が限定されてきた。本研究では世界初のウェアラブル磁気シールドを開発し、大型のシールドルームを用いずに実験室外での脳磁図計測を実現することを目的とする。代表者らが考案した逆問題解析による複雑曲面上のコイル最適設計手法により、頭部に沿った曲面上に9個のコイル巻線を形成し、均一性および勾配線形性が高い磁場を発生させる。
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研究実績の概要 |
脳磁図は、ニューロンが集団的に発火した際に生じる磁場を、頭部の表面に置いた磁気センサで検出し、脳活動のダイナミクスを捉える手法である。従来は特殊な設備である磁気シールドルームの中で測定する必要があった。本研究では、被験者の頭部にヘルメットのように装着できるウェアラブル磁気シールドを開発し、小型磁気センサと組み合わせて脳磁図を測定できることを示す。従来のシールドとは異なり、シールド装置の中心から外れた位置にもセンサを配置する点に技術的課題があり、逆問題に基づく独自のコイル設計手法と多点同時磁場制御によって、これを解決する。令和4年度に構築したヘルメット型シールド装置に磁気センサを組み込み、センサ信号をフィードバックさせるPID制御法によりコイルの電流を調整し、内部磁場を効果的に遮蔽するシステムを構築した。このシステムを用いて、地磁気環境下で41.3dB、磁気シールドルーム内で14.8dBの遮蔽効果を実現した。また、令和4年度に設計した磁場の0次(均一)成分を補償する3つのコイルに加え、1次の傾斜磁場に対応する5つのコイルを設計した。静磁場に対するマックスウェル方程式と多重極展開に基づき、0次コイルを含む8つのコイルを立方体フレーム上に試作した。また、移動状態でのリアルタイム制御とその遮蔽率評価を行うため、磁気センサの光学トラッキングシステムを導入した。試作した立方体コイルを用いて、地磁気環境下でシールド装置の中心から外れた位置でも、中心と同等の約30dBの磁気遮蔽効果が得られることを確認した。すなわち、ヘルメットの中心から離れた位置にセンサを配置しても遮蔽性能を維持できるようなウェアラブル磁気シールドが実現可能なことを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はウェアラブル磁気シールドのコイルの製作と制御手法の設計を計画しており、その計画を概ね順調に遂行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に構築した3軸磁気シールドシステムに対する多軸同時制御器を設計し、脳磁図計測システムの構築と評価に取り組む。
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