研究課題/領域番号 |
22K18444
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
直江 清隆 東北大学, 文学研究科, 教授 (30312169)
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研究分担者 |
高浦 康有 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (00340216)
松井 亮太 山梨県立大学, 国際政策学部, 講師 (20897441)
金光 秀和 法政大学, 人間環境学部, 教授 (50398989)
上杉 繁 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80350461)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 集団志向性 / 責任の分散 / 認知バイアス / デザインの哲学 / サスティナビリティ / 人工物の哲学 / 共同責任 / 人工物 / 集団責任 / インターフェイス |
研究開始時の研究の概要 |
私たちは人工物を介して様々な仕方でつながり合っている。こうした技術と人との関係を集団や組織という点から、哲学的・倫理学的に解明することは、今日の社会的・学問的状況の中で急務になっている。例えば、人工物と人間の関係については、行動経済学のいうナッジが近年注目されているが、その倫理学的な評価については毀誉褒貶相半ばするところであって、その批判的な検討を通じて新たな責任概念を提示することが決定的に重要になっている。この研究は、技術哲学、工学倫理、機械工学、経営倫理、行動経済学といった多様な視点を交わらせながら、理論的研究と具体的・経験的研究とを組み合わせつつ学際的、国際的に探究を進めるものである。
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研究実績の概要 |
2023年度は、研究チーム内で相互に適宜連携を取りつつ、集団思考が問題となる場に関しての分担者それぞれの研究の深化と成果報告を行った。分担者の松井は、原子力に携わる電力会社やメーカーの技術者、大学の研究者や官僚などに対して、福島第一原発事故前の認識や現状認識についてのインタビュー調査を行い、それに基づいて、認知バイアスや集団心理、組織の構造が「安全神話」という不合理な状況をいかにして生じさせたかの過程を分析した。高浦は、東北地域の企業の現場調査を土台に、複雑かつ多岐にわたるサステナビリティに関する課題を把握し、施策や取り組みに反映させるための具体的な方策について、経営倫理学的、比較文化的な研究を行った。直江、金光、上杉の3名は、人工物のデザインやその中ではたらくべき倫理について、工学および哲学的な視点からの研究を行い、デザインが人工物からサービス、社会政策へと多様で複雑な領域へと展開するため、その機能のすべてを厳密に記述することが困難な不確実さが存在することになり、設計者、使用者はならず多様な関係者の参加が必要となることについて、具体的な事例研究と理論的研究を行った。以上の成果は、失敗学会、国際学術シンポジウム、科学基礎論学会、ヒューマンインターフェース学会、The 23rd Biennial Conference of the Society for Philosophy and Technology(Tokyo, 2023)などで報告され、国外/国内の研究者と共同討議で検討された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論形成の作業に関しては順調に進行しており、国内/国際的な場での報告を積み重ねている。理論研究と平行して進行している企業への聞き取り調査も、松井、高浦を中心に進められ、理論と相互浸透した進展が期待される時点にまで到達している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き人工物を責任の変容に関する理論的、エスノグラフィカルな研究を行う。2023年6月に東京で開催されたThe Society for Philosophy and Technologyや日中相互影響に関する国際学術シンポジウムにおいて形成された海外、とりわけ東アジアの研究者とのネットワークを利用し、日本と海外との比較研究を発展させる。また、理論的研究と現地調査を統合的に行い、「認知者・使用者・設計者」間の協働関係、認知の相互補完関係を調査する。
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