研究課題/領域番号 |
22K18445
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
市川 寛也 群馬大学, 共同教育学部, 准教授 (60744670)
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研究分担者 |
郡司 明子 群馬大学, 共同教育学部, 教授 (00610651)
村山 修二郎 秋田公立美術大学, 美術学部, 准教授 (60823119)
占部 史人 静岡大学, 地域創造学環, 講師 (90844994)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 図画工作 / 美術教育 / アートプロジェクト / ワークショップ / 民衆文化 / 祭礼 / まちづくり / 芸術化 / 図画工作科 / 工芸 / 社会教育 / 創造性 / 生業 / 生活 / アートベース・リサーチ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、小学校図画工作科の教科目標に示される「楽しく豊かな生活」を出発点に、芸術学と教育学とを架橋した「創造的生活学」の構築を目的とするものである。研究の実施にあたっては、研究者・実践者・アーティストの連携に基づく実践コミュニティを形成することにより、理論と実践の両面からアプローチする。特に、地縁や血縁に基づく従来型の共同体としてではなく、興味や関心を共有する人々のゆるやかなつながり(動機縁)を基盤とする開かれた場が点在する地域社会のあり方を「創造的生活」という視点から捉え直すことを試みる。そのための手法として、体験的なアートプロジェクトやワークショップを取り入れていく。
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研究実績の概要 |
本研究は、小学校図画工作科の教科目標に示される「楽しく豊かな生活」を出発点に、芸術学と教育学とを架橋した「創造的生活学」の構築を目的とするものである。研究の実施にあたっては、研究者・実践者・アーティストの連携に基づく実践コミュニティを形成することにより、理論と実践の両面からアプローチする。 本課題の2年目となる2023年度は、初年度に引き続き岩手県金ケ崎町に所在する「金ケ崎芸術大学校」を拠点に、アクションリサーチを展開した。研究分担者の村山修二郎は、庭園の環境を生かし「笑鹿島様」と題したインスタレーションを展開した。同じく研究分担者の占部史人は、「マイ・スヰートホーム・ストーリー」と題するワークショップに取り組んだ(2023年9月17日)。一連の実践は「家の記憶を手繰るために」をテーマにしたアートプロジェクト「城内農民芸術祭2023」において発表し、地域社会にその成果を還元した。 また、民衆文化における創造性の位置づけについて、「ねぶた」の技法に基づくプロジェクトを展開した。今日では「観光ねぶた」としての側面が強いが、本研究では地域共同体を担い手に制作されていたかつての「地域ねぶた」にスポットを当てた。本実践については、青森県弘前市で開催された第46回美術科教育学会にて口頭発表を行った(2024年3月2日)。 理論研究の観点からは、社会学者の小松田儀貞を招いて「芸術化」にスポットを当てた公開研究会を開催した(2023年9月16日)。本研究が目標とする「創造的生活学」の構築に向けて、「芸術の〈生活化〉」と「生活の〈芸術化〉」の二つの観点から理論的枠組みを整理することができた。 なお、一連の研究成果については、2024年度に『金ケ崎芸術大学校紀要』を発行する準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間2年目となる2023年度は、初年度のリサーチを踏まえて具体的なワークショップを展開した。学術論文としての発表は少ないものの、「城内農民芸術祭」というアートプロジェクトを通して一連の研究成果を発表することができた点に本研究の独自性が認められる。特に、新型コロナウイルスに対する社会的な対応が変化したことにより、近隣住民(特に高齢者)を対象とするワークショップを実行することができ、その過程における聞き取り調査へと結実した。最終年度には、ここでの実践を具体的な「言葉」に置き換えていくわけだが、それに向けた実践(データ)は十分に蓄積されている。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度となる2024年度は、前年度と同様に「金ケ崎芸術大学校」におけるアクションリサーチを継続する。研究分担者の村山修二郎は、これまでの複数年にわたるフィールドワークを踏まえた冊子を制作し、占部史人は前年度のワークショップを踏まえた作品を制作する。並行して、そこでの実践を「言葉」として記録にとどめていくために『金ケ崎芸術大学校紀要』の発行を予定している。ここには、研究分担者である村山や占部による実践に基づく論考のほか、社会学や国文学など、異なる学術領域の研究者にも執筆を依頼している。 また、比較対象として異なる地域における実践も展開する。これまでに「金ケ崎芸術大学校」では、創造的生活の実践として夏休みの児童を対象に「小学生ウィーク」に取り組んできた。ここで蓄積されてきた実践モデルの他地域における応用可能性を検証するために、群馬県中之条町においてサマースクールを企画している。 さらに、初年度に取り組んだ「妖怪アート」に関する研究を踏まえ、まちを歩きながら妖怪がいそうな場所を探し、そこにいるであろう妖怪を想像するワークショップ「妖怪採集」を展開する。現状では、埼玉県坂戸市における実践を想定している。 一連の研究を通して、身近な環境から「楽しく豊かな生活」をつくりだしていくための理論的・実践的モデルの構築を目指す。
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