研究課題/領域番号 |
22K18449
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤川 直也 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40749412)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 言語行為論 / 概念工学の実装 / 謝罪論 / 意味の否認可能性 / 言語哲学 / 概念工学 / 否認可能性 / 応用言語哲学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、言語行為工学(speech act engineering)という新たな研究領域を創出することにある。言語行為工学は、(i) 言語行為の評価(その欠陥・問題点の発見)、(ii) 新たな言語行為の設計、(iii) 新たに設計された言語行為の実装、の三要素からなる分野横断的な研究領域である。本研究ではこの三要素について、(A) 基礎理論研究、(B) 応用言語哲学研究、(C) 哲学史研究の三つの観点から多角的に取り組むことにより、言語行為工学という学問領域を創出する。
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研究実績の概要 |
本研究では、言語行為工学---(i) 言語行為の評価(その欠陥・問題点の発見)、(ii) 新たな言語行為の設計、(iii) 新たに設計された言語行為の実装---という新たな研究領域の創出を目標とする。基礎理論として、工学の対象となる人工物としての言語行為の基礎理論の探究、応用研究として、実社会での問題解決のための言語行為工学の応用、哲学史研究として、ウィトゲンシュタインとハイデガーの哲学を言語行為工学の実践として解釈するという課題に取り組む。2023年度は、特に言語行為工学の基礎理論の研究について以下の研究を行った。 (i) 前年度の研究で明らかにした意味の否認可能性の多様性に基づいた、言語行為に伴う帰責のあり方がもつ多様性と揺らぎ構造の解明、(ii) 「、、、だとしたら申し訳ない」という条件つき謝罪、それからロボットの謝罪に着目した、言語行為の可変性と言語行為工学の実践についての具体的な分析、(iii) 言語行為工学と概念工学の共通の課題である実装の方法について、人為的に作られた境界事例の提示による概念への介入という方法論の提示 (ii)については、ワークショップ「謝罪について:ロボティクスと哲学から考える」(2023年8月5日、キャンパスプラザ京都)を開催し、そこで「「誤解を招いたとしたら申し訳ない」:条件付き謝罪と発語内行為の可変性」という研究発表を行った。(iii)については、「概念工学の実装の一方法としての外延に基づく方法」(科学基礎論学会 2023 年度講演会、2023年6月11日) と第する研究発表を行った。また(i)と(ii)の研究を含む単著を準備している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度当初の計画のうち、基礎研究(否認可能性の多様性に基づく言語行為の責任の多様性の構造の解明、謝罪を例にした言語行為工学の具体的分析)については順調に進捗したが、応用研究(コミュニケーションにおける言語行為の遂行に関する問題・困難についての調査と言語行為工学の観点からの解決案の提示、ウィトゲンシュタイン哲学の言語行為工学からの解釈)については十分に進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度までの成果を踏まえ、2024年度は以下の研究に取り組む。第一に、応用言語哲学的課題として、特にSNSにおけるコミュニケーションの問題の言語行為工学の観点からの考察と、言語行為工学の実装の倫理的課題の考察を行う。とりわけ、SNS という文脈において従来の言語行為の類型に収まらない新たな言語行為の設計・実装が行われているという仮説を検討すると同時に、概念工学に関して指摘されている倫理的課題の調査とその言語行為工学への適用を試みる。この課題について研究員を雇用し共同研究として進める。第二に、ウィトゲンシュタインとハイデガーの哲学を言語行為工学の実践として解釈するという哲学史研究に取り組む。この課題は海外研究協力者を招聘し共同研究として進める。
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