研究課題/領域番号 |
22K18451
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
齋藤 豪 東京工業大学, 情報理工学院, 准教授 (00323832)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | アニメ制作 / データ蓄積法 / 手描き描画 / ベクタライズ / 手描き画像 |
研究開始時の研究の概要 |
日本のアニメは手描きに基づき独自の発展を遂げてきた高度な映像表現からなる。 作業工程は一部デジタル化されているがコンピュータ利用の恩恵を十分に得ているとは言えない。またデジタル化した制作工程中のデータの蓄積に関しても十分な考慮がなされていない。 本研究では、優れた映像表現を実現している一方で、デジタル化の効率的な利用が進まないことによる制作の非効率が目立つアニメ業界の作業工程に変革をもたらす、調査に基づく作業工程間でのデータ送受の形式の標準形式の提言、及び人材育成の観点から有用であって学術的にも貴重な、アニメ制作時の絵やその関連データを作業工程間のデータ授受の仲介と同時に蓄積する基盤の提言を行う。
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研究実績の概要 |
アニメーションの制作工程を調査し、制作における各作業のそれぞれを中心として、作業に必要な素材と参考資料を入力、作業により生み出される成果を出力とした関係図を作成した。その関係図を元に、アニメーション制作の作業間のデータの受け渡しをオンラインで行うウェブシステムの制作に着手した。作業者がデータの登録を行うウェブインタフェースは、データの受け渡しのみならず、リレーショナル・データベースへの登録も兼ねており、本研究の目的の一つであるアーカイブ構築用基盤の重要要素である。 2022年度は日本のアニメーションスタジオで一般的に使われているカット袋とタイムシートを調査し、それをオンライン上に再現すべく、ウェブインタフェースのプロトタイプを作成し、アニメーション制作の現場からの意見収集を行った。また、学会発表を行って研究者との意見交換も行った。 また、アニメーション制作で作画される線画はラスター画像が多いが、加工のためにはベクター画像形式が便利なこともあり、ラスター線画像のベクタライズ変換する手法についてもデータ形式の変換の一つとして研究を行った。これは線画の各線の輪郭線をキュービックベジェ関数でベクタライズする手法であり、線の輪郭線の角と端点を検出する画像フィルタを機械学習により作成し、抽出した点間を結ぶ曲線を複数のキュービックベジェ曲線を使って表現する。キュービックベジェ曲線の区分間での連続性を考慮して制御点を最適化手法により決定する手法である。この件に関しては2編の国内発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オンラインでの作画データの送受信用の基礎的実装を進め、ウェブクライアント、ウェブサーバ、リレーショナル・データベースを結んだシステムの基礎的な実装を行った。 システムを研究室内で運営し、外部アクセスとなるアニメーション専門家による利用ができるようにネットワークの整備を行った。 線画のベクタライズについては、手法の提案を行い、従来提案されている手法との比較実験を行い、相対的に良好な結果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に実装を開始したアニメーション制作の作業間のデータの受け渡しをオンラインで行うWebシステムへの追加実装として、より多くの制作工程の作業者向けインタフェースを用意し、制作現場からフィードバックを得る。 また現場からの積極的なフィードバックを得るために、システムを利用することの付加価値が必要であると考え、簡易的な動画チェックを行える仕組みを導入する。 線画のベクタライズについては、従来手法との比較実験では相対的に良好な結果を得ているが、アニメ制作での作画の描線のデータ蓄積を進め、アルゴリズムの改良と評価を進める。
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