研究課題/領域番号 |
22K18457
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
須長 正治 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (60294998)
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研究分担者 |
伊原 久裕 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (20193633)
工藤 真生 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (40738986)
竹之内 和樹 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (90207001)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | ピクトグラム / からくり機構 / 社会包摂 / 認知症 / 知的障害 / 遊び心 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,ピクトグラムの構成要素を動かすことで,認知的な障害等を持つ方でも理解しやすいピクトグラムをデザインすることを目的とし,さらに, ・ピクトグラムの機能を保持したまま,従来の枠組みから飛び出し,構成要素を動かす. ・“遊び心”で 障害を持たない人の関心を惹くように働きかける. ・“遊び心”を刺激するために,このデジタル技術の盛期にあえてアナログで物理的に動かす. ・ 動力源として,不便で非効率なゼンマイにこだわり,ユーザーの関わりでその欠点を補うことで,社会の問題への気づきの機会とする という上記のアイデアが社会包摂の仕組みデザインとして機能するかを明らかにする.
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研究実績の概要 |
ピクトグラムは,絵文字や画像記号とも呼ばれる視覚記号のひとつであり,絵によって意味するモノやコトの概念を理解させる情報伝達手段である.しかし,認知的機能に障害があると,ピクトグラムの概念理解に至らない場合がある.そこで,本研究課題は,からくり機構をピクトグラムに適用し,動かすことによって,認知機能に障害を持つ方のピクトグラムの理解の促進だけではなく,社会に対して障害理解を促進することを目的としている. 一年目の令和4年度は,「トイレ」および「非常口」のピクトグラムを動かすことを検討した.現在の「トイレ」のピクトグラムは,人型ピクトグラムによって表現されているだけで,そのピクトグラム自体には「トイレ」を示唆する視覚記号はない.そこで,テコリンクを用い,トイレ内で行う「便座に座る・立ち上がる」という動作を再現した.また,「非常口」では,ローラーチェーンとスプロット歯車によって回転させることで,JISの「非常口」ピクトグラムの中で,人型ピクトグラムを非常口から出ていく動作を再現した.ただし,からくり機構は手動で動かした. さらに,これらのからくり機構のピクトグラムを,知的障害を持つ方に観察してもらい,その反応を調査した.その結果,知的障害から虚言が発せられたりし,からくり機構のピクトグラムが知的障害を持つ方に対しては有効ではない可能性が示唆された.この結果は,期待しない結果であったが,知的障害を持つ方の認知的機能を探る意味では新しい知見であると言える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は,動作は手動によるものであるが,「トイレ」と「非常口」の2種類のからくり機構を持つピクトグラムを制作することができた.また,知的障害を持つ方に観察してもらい,その結果を得ることができた.また,得られた結果は,期待したものではなかったものの,知的障害を持つ人の認知機能の理解がステレオタイプ的なものであり,学術的にも理解不足であることを露呈したものとなった. 以上のように,2種類のからくり機構のピクトグラムの制作,その評価を行えたことから,順調に研究を進められていると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる令和5年度は,令和4年度に作成した「トイレ」と「非常口」の2種類のからくり機構のピクトグラムの動作をゼンマイまたは太陽電池で動作させることを行う.さらに,これらのからくり機構のピクトグラムを認知症の高齢者に観察してもらい,その意味や反応を測定することを行う. また,「トイレ」と「非常口」以外に,からくり機構によりピクトグラムの理解を促進可能なピクトグラムの検討を行い,からくり機構のピクトグラムの種類を増やしていく.
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