研究課題/領域番号 |
22K18476
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分2:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 宮城学院女子大学 |
研究代表者 |
遊佐 典昭 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (40182670)
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研究分担者 |
金 情浩 京都女子大学, 文学部, 准教授 (70513852)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 遠隔授業 / 英文法 / 社会的相互作用 / 第二言語獲得研究 / 言語理論 / 言語知識 / 気づき / 非対格動詞 / 文法規則 / 脳科学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、教師と生徒間の「社会的相互作用」の観点から、遠隔授業がどこまで英文法知識の発達と定着を促せるのかを言語理論、第二言語獲得研究、脳科学の観点から検証し、ポストコロナにおける英語教育に対して、エビデンスベースから遠隔教育の可能性と限界を探り、多様な授業形態における効果的な指導法に寄与することを目的とする。
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研究実績の概要 |
コロナ禍の最中、Zoomなどを用いたリアルタイムの同期型遠隔授業やオンディマンドを用いた非同期型遠隔授業が、対面授業の代替として利用されている。同期型遠隔授業は出席率の向上や個々の学生と密接に繋がることができるという利点を指摘する声がある一方で、対面授業と同じ「社会的相互作用」は作れないという欠点も同時に指摘されている。本研究は、教師と生徒間の「社会的相互作用」の観点から、同期型遠隔授業に加えて非同期型遠隔授業がどこまで英文法知識の発達と定着を促せるのかどうかを言語理論、第二言語獲得研究、脳科学の観点から検証する。また、ポストコロナにおける英語教育に対して、(i) エビデンスベースから遠隔教育の可能性と限界を探り、(ii) 多様な授業形態における効果的な指導法に寄与する、ことを目的とする。 R5年度は、Yusa(2003)を再検討した。この論文では、日本人英語学習者が上級レベルになっても、“*The accident was happened yesterday”のように自動詞である非対格動詞(変化を表す「ナル動詞」)を誤って「受動形」で用いるのは、be動詞を完了マーカとして用いていることに起因することを明らかにした。その後、この「誤り」を克服する教授法が提案されたが短期的効果しか生まず、有効な教授法はまだ提案されていない。本研究は、非対格動詞が完了の意味を表す形容詞(“He is gone”や”fallen leaves”)が、完結性の強い非対格動詞に拡大したという仮説を中心に検討を行ったが、実験には到らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究所年度のR4年度は、対面による実験を計画していたが、新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、対人研究の制限のために研究が思うように進められなかった。一方で、対人研究の制限がなくなった場合に備えて、本研究課題の研究動向と関連領域の調査を行うと同時に、研究課題に関連する文献を購入した。この調査の中で、申請時点では想定していなかった異分野からの情報を得ることができたことは、評価できる点であり二年目以降の研究推進に役立つと思われる。また、次年度以降に備えて、実験項目の選定や刺激の検討をすることができた。これらの観点から、ある程度の研究進捗は認められたと言える。 研究2年目のR5年度は、対面授業と遠隔授業の比較を予定していたが、対人研究の制約がまだ残っており研究が思うように進められなかった。特に、新型コロナウイルス感染症流行以前と比較すると、実験参加者を集めるのが困難であった。従って、進捗状況は遅れていると言わざるを得ない。しかし、遠隔授業で使用されるAIに関する知識を得るために、学会、研究会に参加すると同時に、図書を購入して最新の知見を得ることができたのは次年度の研究に役立つと思われる。また、実験項目の選定や検討を昨年に続き行った。これらの観点から、ある程度の研究進捗はみられたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症が落ち着いたので、実験を安全に実施できる方策を練った上で実験文を確定し、予備実験で問題がなければ実施計画を遂行する。3年目は、今までに行えなかった実験を実施し、その結果を分析する予定である。また、本研究の結果のみならず付随する研究成果は、専門家のみならず一般向けにも情報を発信する。
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