研究課題/領域番号 |
22K18487
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 (2023) 名古屋大学 (2022) |
研究代表者 |
山本 裕二 新潟医療福祉大学, 心理・福祉学部, 教授 (30191456)
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研究分担者 |
木島 章文 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10389083)
横山 慶子 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (30722102)
島 弘幸 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40312392)
奥村 基生 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (90400663)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 桝形門 / 人流 / 社会的力 / 集団ダイナミクス / 移動動態 / 城門 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,我が国の城門の中でも特に優れた防御機能を有していたとされる枡形門の空間構造を,ヒト集団の移動動態の行動解析と社会的な見えない力の数理モデルからその機能を定量的に再評価します.具体的には,現存する枡形門を実地測量調査し,その空間構造を詳細に把握します.そして,枡形門の構造を復元し,実際のヒト集団の移動動態を実験により明らかにします.そして,社会的な見えない力を想定した数理モデルを立てて,ヒト集団の移動動態をシミュレーション実験により,定量的に評価します.さらに,枡形門を避難経路と見立てた際の安全な空間構造を数理モデルで予測し,行動実験で検証する予定です.
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研究実績の概要 |
今年度は,島原の乱で実戦で唯一使われたとされる長崎県にある原城の桝形門跡の現地調査,および発掘調査報告書などの文献収集を行った.その結果本丸正門から埋門までの間に,多門櫓に囲まれた幅15.2メートル,長さ47メートル余りの桝形があり左折れ型であった.また,虎口門前にも幅8メートル弱長さ17メートル余りのクランク状の桝形があった.この本丸正門からの桝形の大きさや形状は,松本城などの軍学で言われる5間×8間とは異なっていた.原城の築城は慶長4年(1599)から9年(1604)とされ,松本城の太鼓門桝形は文禄2年(1593)から慶長期とされていることから,築城の時期はほぼ同じであると考えられたが,形状の違いの理由については定かではない. また,松本城太鼓門桝形と同じ形状で大きさを2分の1に再現した空間を設け,行動実験を行い,桝形門内の人流を測定した.桝形門の周りには段ボール製の狭間を設け,そこから水鉄砲で攻撃をする中で,二の門から入り一の門に抜けるまでの動きをドローンにより撮影した.1チーム8名とし,攻守を入れ替えながら5回ずつ行った.結果として,桝形門内での移動が直線的になっていたが,これは松本城太鼓門桝形の二の門手前にある鵜首(堀を渡る橋)の部分を再現していなかったことによるものと考えられた.つまり,鵜首から二の門を通り右折れし,桝形内を通り抜けて再度左折れして一の門から出ていくという,クランク状の形状が桝形門内の人流に大きな影響を及ぼすことが考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,長崎県にある原城の現地調査と関連する文献調査,ならびに松本城太鼓門桝形を再現した行動実験を行った.原城は実戦で使われた唯一の桝形門と言われているが,その形状は軍学で言われている形状とは大きく異なっていたことが明らかになった.また行動実験では,桝形そのものの形状よりは,桝形に入るまでの通路と2つの門の位置関係が桝形門内の人流に影響することが示唆された点が大きな収穫であった.
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今後の研究の推進方策 |
桝形の形状だけでなく,桝形に入るまでの通路と出てからの通路の位置,幅を変えた形状をデザインし,その中で人流がどのように変化するかを行動実験で明らかにする. そして他者や壁などから受ける社会的な力をモデル化し行動実験の結果を数値シミュレーションによって再現することによって,数理モデルの妥当性を検証する.
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