研究課題/領域番号 |
22K18488
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
村上 恭通 愛媛大学, アジア古代産業考古学研究センター, 教授 (40239504)
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研究分担者 |
渡邉 敬逸 愛媛大学, 社会共創学部, 准教授 (30711147)
井口 梓 愛媛大学, 社会共創学部, 准教授 (50552098)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 人口減少社会 / 人口動態 / 有形・無形文化財 / 四国 / 危機的状況 / 愛媛県 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は愛媛県における人口減少(人口減少社会)の動態と有形・無形文化財の分布とを重ね合わせることで、人口減少下にある/予測される地域に存する文化財を抽出し、人・集落と文化財との疎遠化という問題をかかえる自治体がもつべき、将来の文化財保護・整備・活用に対する方策を探索的に明らかにするものである。
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研究実績の概要 |
前年度までの調査・研究の進捗状況と今年度内の研究タスクについてミーティングを開いて確認したうえで、フィールドワークを実施し、人口減少/消滅と文化財との関係に関する情報を収集した。研究代表者 村上は岡山県新見市、愛媛県西予市、高知県安芸市、福井県あわら市、島根県奥出雲町で地域の文化財の現状と地域住民の文化財への関わり方を調査した。研究分担者 井口は内子町小田地区にて、芝居小屋6座の記録調査を実施した。当該芝居小屋に関しては、現存しないうえ、公の記録や調査記録が全く残っておらず、住民の記憶や経験のみでの地域の歴史を再構成するパブリックヒストリーの実証研究として文化財関係者から評価された。また新居浜市では、別子銅山関連の近代化産業遺構の資源化の実態と文化資源の担い手の動向について調査を実施し、担い手の高齢化により口頭での継承が困難となった「語り」をデジタルアーカイブ化する地域活動を調査した。渡邉は愛媛県上島町、香川県高松市、高知県高知市で現地調査を実施した。渡邉が担当する四国4県各市町村の文化財データの地理情報の登録作業については前年度に引き続き進め、愛媛県に加えて,徳島県と香川県の作業を終了した。両県ともに文化財データがWeb上に公開されていない市町村が多く、特に市町村指定の文化財データについては詳細な位置情報が公開されていないため、平成期に作成された両県の文化財一覧表を基に探索的に各文化財の位置をはじめとする各種情報を登録した。 2023年12月23日には、愛媛県内子町教育委員会と連携してシンポジウムを「文化遺産の現在と未来―人口減少社会と生きる―」と題して内子町で開催し、井口の趣旨説明後、村上、渡邉が発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地協力者の急用や天候不順で実施し得なかったフィールドワークが実施し得なかっただけで、その他は順調に進行している。また前年度、愛媛大学で開催したシンポジウムの成果がマスコミ等で広く周知されたことから、各地からの意見や依頼が届くようになり、波及効果が高いと認められるため。
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今後の研究の推進方策 |
前年度、実行できなかった聞き取りを含めたフィールドワークを含め、愛媛県内における集落と文化財の現状調査を進める。井口は、引き続き内子町小田地区での調査とパブリックヒストリーの実践を進める。加えて、人口減少と文化資源継承に係る地域の困難な状況は全国で発生しており、本研究でのパブリックヒストリーの手法を用いた地域での2年間の成果に関心をもつ全国の自治体や文化財関係者に対するヒアリングや意見交換を行い、縮退する集落での文化資源の在り方についてアプローチする予定である。また、文化財継承の可能性とヴァナキュラーアートとの関係にも言及した実証研究を進める予定である。また村上は過疎化の進む山間地における文化財活動が活発な例を県外自治体に求め、比較検討の対象として情報を収集する。また年度の研究成果については、シンポジウムなどで成果を公開する。
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