研究課題/領域番号 |
22K18495
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
上椙 英之 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 研究員 (50600409)
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研究分担者 |
村田 泰輔 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 主任研究員 (00741109)
上椙 真之 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 散乱・イメージング推進室, 主幹研究員 (20426521)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | X線CT / イメージング / 墨書 / 3D / 位相コントラスト / 被災文化財 / CT / 文化財 / 被災資料 / 3次元 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでX線を用いた文字検出はインクを対象としていた。一方で墨書のX線解析に成功した報告がない。その理由として、植物由来の墨と下地の紙とでは同じ炭素であることから物質的には殆ど差が無く、X線の撮像では墨と紙を分離できないことが原因である。また、軽元素である炭素はX線を透過しやすく、金属など重い物質と比べて、十分なコントラストが得難いという問題も抱えている。 本研究は、SPring-8による高精度の三次元撮像と、奈良文化財研究所の豊富な文化財調査実績とを融合し、古文書や典籍から墨で書かれた文字を抽出し、さらにページ単位で仮想空間上に展開・展示する技術の開発を目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、これまで鉱物由来のインクの抽出が中心であったをX線CTによる紙面上のテキストの抽出を、古文書や典籍などの和紙の、紙と同じ植物由来の墨で書かれたテキスト(以下、墨書)を抽出することを目的とする。最終的には固着し各ページの展開が困難となった古文書から文字を抽出し、仮想空間上に展開することを目標とする。 2023年度春のSPring-8の実験では可視光変換型X線検出器を利用し、CTイメージングを行なった。また、併せてラミノグラフィや屈折のテストも行った。結果、屈折をつけるとコントラストが強すぎ、和紙の繊維が強調されてしまい構造認識の妨げとなった。結果として30keVでCTイメージングした場合に、墨書の輪郭らしき構造を捉えることができた。墨書のある部分と無い部分でX線の線吸収係数は同じ植物由来であり変化はない。何をとらえたか今後の検証で明らかとする。 2023年度秋の実験では、SPring-8の高感度のCTイメージング複数の紙を束ねたイメージングを行い、積層した紙束から紙一枚一枚を分離を試みた。本申請の分析では、和紙の積層構造の撮像に成功しているが、紙一枚一枚を分離するほどの解像度は得られておらず、さらに分解能を上げた撮像を2024年度に行うこととした。 2023年度の実験では和紙から墨の検出には成功し、積層構造の撮像までは成功したが解像度が足りず、紙の分離まではできなかった。さらなる申請を経て2024年度内に実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文字の抽出および積層構造の撮像までは成功したため、当初の計画通り進展している。
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今後の研究の推進方策 |
実際の文書資料を用いた非破壊での積層した墨書文字の抽出を最終目標とする。
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