研究課題/領域番号 |
22K18499
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
池口 明子 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (20387905)
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研究分担者 |
橋本 ゆかり 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (40508058)
鈴木 朋子 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (60422581)
鈴木 允 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (70784651)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 多文化教育 / 地理教育 / ESD / 授業開発 / 地誌 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は高校地理教育におけるESD(持続可能な開発のための教育)を対象として,学際的な研究モデルを構築することで,多文化包摂的な授業開発モデルを提示することを目的とする。従来,外国人児童生徒の学習のつまずきの構造的な要因として,母語・母文化を維持する家族との対立関係や,同調的な学校文化の影響が指摘されている。本研究では1)実践事例と理論研究による多文化包摂的な地理ESDの仮説的な構築2)ニューカマー生徒が多く在籍する高校における学習者特性分析3)教育プログラム開発・実践・評価をおこない探索的に研究モデルを構築する。
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研究実績の概要 |
1.高校地理総合の多文化クラス授業研究 昨年度の歴史総合授業研究の課題を踏まえて,高大連携による地理総合授業研究を実施した。教員養成系学部の2年生と社会系教員とで愛川町の多文化コミュニティとのワークショップを実施し,地理総合の国際理解単元,とくに農業課題と多文化社会にかかわる項目について授業案を作成した。 2.母語母文化教育に関するフィールドワーク ブラジルのサンパウロおよびマナウスにおいて,日本語・ポルトガル語のバイリンガル教育の実態を調査した。ペルーではリマの日系社会,およびクスコの先住民社会における複言語教育の実態を調査した。またこれらの地域において,ESD教材として熱帯林保全,エコツーリズムに関する資料を収集した。ブラジルやペルーでは,日本から帰国した生徒のカウンセリングが専門家を含め学校全体でおこなわれ,社会科授業にもアイデンティティを社会・人文科学の手法で考える授業が取り入れられている。ペルーのケチュア文化に基づく農業教育は,社会と自然の関係について批判的思考を育てると同時に,人文的見地から科学をとらえるという点で先進的なSTEAM教育実践であることがわかった。 3.多文化教育とESDの統合について,その目的・方法・内容を国際会議によって検討した。ペルーとベトナムの持続的社会と教育研究者,および日本の教育研究者・実践者とともに神奈川県愛川町のベトナム人・ペルー人コミュニティで教育課題に関する懇談会を開き,自然農園ではペルーの持続的農業における文化教育の意義について意見交換をおこなった。この実践では小学校・中学校教諭も参加して多文化教育への多様なアプローチを経験し,子どものライフコースを視野に入れた地理ESD授業の構想につながった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高校-大学連携による授業の評価手法の開発は当初予定よりもやや遅れているが,多文化の視点による高校地理総合の内容課題に関する検討は,国際会議や海外フィールドワークによって予想以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の2024年度には,ベトナムの大学との連携によって日越のカリキュラム比較をおこない,国境を超えるライフコースを想定した多文化ESD教材を開発する。また,授業評価の手法に質的基準を導入して小規模集団における効果測定を検討する。学会発表を念頭に研究のとりまとめを進める。
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