研究課題/領域番号 |
22K18500
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
奈良間 千之 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50462205)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 氷河 / 雪渓 / 質量収支 / 飛騨山脈 / SfM-MVS / アイスコア / 氷化過程 / 飛彈山脈 |
研究開始時の研究の概要 |
飛彈山脈では現在七つの氷河が確認されているが,これら氷河がどのように形成・維持されているのかは明らかでない.この環境解明には,氷河の「質量収支」や積雪が氷河氷へと変態する「氷化過程」を明らかにする必要がある.本研究では,「雪崩涵養型」の七つの氷河を対象に,融雪末期と積雪最大期にセスナ空撮で取得した画像を用いてSfM-MVS解析でオルソ画像と地形表層モデル(DSM)を作成する.これら各時期のDSMを比較することにより,氷河の質量収支とその変動特性を明らかにする.また,長野県白馬村の杓子沢雪渓において,15mのアイスコアを掘削し,その層位,密度,含水率,結晶粒径を調べ氷化過程を明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究では,1)氷河分布の全貌解明,2)氷河の長期間の質量収支観測,3)積雪から氷河氷に相変化する氷化過程と氷化年数の3つの課題に取り組んでいる. 1)氷河分布の全貌解明については,白馬連山の杓子沢雪渓と不帰沢雪渓でこれまで確認された氷河と同程度以上の氷厚および流動が観測されたため,これら結果を論文にまとめ国際誌に投稿した.白馬沢雪渓は他の2つの雪渓と同程度の氷厚であったが,雪渓崩落で測定地点に近づけず流動を観測できなかった.また,杓子沢雪渓については流動の再測をおこなった. 2)氷河の長期間の質量収支観測については,飛騨山脈の氷河と雪渓を対象に2023年4月1日,10月8日に実施したセスナ空撮画像から作成したDSMにより,2023年の氷河の年間質量収支,涵養深,消耗深を測定した.2022/2023年冬期の積雪量は少なく,少雪年だった2015/2016年と同様に氷河の質量は大幅に減少した.また,氷河の質量収支の成果の一部は国際誌に掲載されているが,その後の継続した調査結果をまとめ国内学術雑誌に投稿した. 3)積雪から氷河氷に相変化する氷化過程と氷化年数については,杓子沢雪渓においてアイスコア掘削を2022年10月16日と2023年9月18日に実施し,直径7.2cm,全長706㎝,330cmの2本のコアを取得した.現地で密度・含水率を測定し,持ち帰ったコアで花粉分析と酸素同位体比分析をおこなった結果,杓子沢雪渓の圧密による氷化年数は4~5年であり,氷化過程は質量収支によって異なることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3つの研究課題である,1)氷河分布の全貌解明,2)氷河の長期間の質量収支観測,3)積雪から氷河氷に相変化する氷化年数と氷化過程について,それぞれで成果が得られた.1)については,2つの雪渓で氷河であるデータが得られ,論文を投稿中である.2)については,2023年度の氷河の質量収支を測定できた.3)については,花粉分析,酸素同位体比分析,質量収支の結果から,杓子沢雪渓の氷化年数と氷化過程が明らかになった.以上の結果,計画以上に進展していると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
3つの研究課題である,1)氷河分布の全貌解明,2)氷河の長期間の質量収支観測,3)積雪から氷河氷に相変化する氷化年数と氷化過程について,今年度の計画を記す.1)については,杓子沢雪渓と白馬沢雪渓の再測をおこなう予定である.2)については,4月6日にセスナ空撮を終え,冬期の積雪量を算出する画像データを取得した.融雪末期の10月にもセスナ空撮を予定している.3)については,2本のアイスコアから得られた結果を論文にまとめて投稿予定である.
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