研究課題/領域番号 |
22K18504
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
吉田 容子 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (70265198)
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研究分担者 |
久木元 美琴 専修大学, 文学部, 教授 (20599914)
須崎 成二 立正大学, 地球環境科学部, 助教 (30937678)
原口 剛 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (40464599)
松岡 由佳 函館工業高等専門学校, 一般系, 准教授 (60911922)
小谷 真千代 神戸大学, 人文学研究科, 人文学研究科研究員 (00945587)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | コロナ禍 / 経済的困窮世帯 / 地域労働市場 / 地域社会 / 定性的分析 / 経済的困窮 / 定性的調査 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、新型コロナウイルス感染拡大がもたらす危機的状況(コロナ禍)で生じた経済格差の拡大という重大な社会経済的問題の実態解明を試みる緊急課題である。コロナ禍によって日本の深刻な経済格差が露わになり、「弱い立場」の人ほど大きな打撃を受けている。膨大な非正規労働力を抱える地域労働市場でいま何が生じているのか、また、地域社会は経済的に困窮する人たちへの支援の面でどのように機能しているのか、定量的データの収集だけでなく定性的調査を実施し、地域の実情や地域が抱える問題のあぶり出しを図る。
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研究実績の概要 |
コロナ禍では、経済的・社会的に弱い立場の人々がさらなる打撃を受けた。そうした人々の「声」を掬い上げ、定量的データの分析からはみえにくい地域の実情や課題をあぶり出すことを、本研究はめざしている。 本年度の研究成果は以下のとおり。吉田:前年度に引き続き、都道府県の労働局が公表する統計情報の中で、求人・求職や労働市場の動向に関わるデータを把握した。また、奈良県内のハローワークで聞き取りおよび資料収集を行い、「コロナ解雇」の実態を把握した。原口:前年度に続き、東京山谷で野宿生活を続ける人々が、コロナ禍でさらなる窮地に追い込まれた実態を把握するため、支援団体への聞き取りを実施した。久木元:前年度より継続してきたコロナ禍の保育および子育て世帯への影響に関するデータ分析結果を、日本語論文および英語論文で発表した。また、コロナ禍以前も含む都市空間における子育て支援や保育環境について既存研究と近年の動向・課題を整理した論文が、都市地理学に関する書籍に掲載された。松岡:公的機関が公開する障がい者雇用関連の情報を収集し、主として北海道内の事業所における障がい者雇用の事業内容や特徴を整理した。須崎:文献収集に加え、台湾台北市のゲイバー・レズビアンバー経営者に聞き取り調査を行なって、新型コロナ感染拡大期から現在までの経営状況・戦略に関するデータを入手した。小谷:これまで収集した資料(国連のコロナ対応、日本およびブラジルの出入国管理・国内の外出制限に関する新聞記事等)を整理し、日本とブラジルの間の移動規制が両国の日系人労働者の移動に与えた影響を検討した。ブラジルに関する調査結果をもとに国内派遣会社に調査を行う予定であったが、アルゼンチン・パラグアイ系の労働者斡旋業者から調査の承諾を得ることができたため、ブラジル以外の南米諸国の斡旋状況についても資料収集や斡旋業関係者への聞き取りを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、研究代表者および分担者が所属する研究機関の行動指標(とくに研究や出張に関するもの)が「通常通り」まで引き下げられていなかったため、家庭・世帯や個人を対象に聞き取り調査が十分に実施できなかったが、2023年度は研究対象への聞き取り調査が可能となり、本研究課題を進めることができた。研究分担者は、ここまでの研究成果の一端を学会発表や論文のかたちで公表した。対面での研究打ち合わせを行い、最終的な研究成果をどのように公表するかについて検討した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年度である2024年度は、研究代表者および分担者の役割分担に従って研究対象地での現地調査や研究対象者への聞き取り調査の充実をはかる。また、これまでに収集した統計調査データやアンケート調査の分析結果の公表(学会発表、論文執筆・投稿)を行う。さらに、本研究の成果の一端を国際学会(IGCダブリン)で報告する。なお、これらの研究成果は最終的に刊行の予定である(本科研の終了後数年以内)。
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