研究課題/領域番号 |
22K18506
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
中島 敦司 和歌山大学, システム工学部, 教授 (90283960)
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研究分担者 |
湯崎 真梨子 和歌山大学, 食農総合研究教育センター, 客員教授 (50516854)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 寺院 / 災害安全性 / 盛土 / 紀伊続風土記 / デジタルマップ / GIS / 災害 / ハザードマップ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,頻発する豪雨災害の中で注目を集めている盛土造成に着目し,近代土木工法が導入される江戸期以前の,重機のなかった時代に人力で盛土造成された土地が,その後の度重なる豪雨や地震の中で,現在までどのように持ち堪えたかを明らかにする目的で実施する。具体的には,江戸期以前に盛土造成された斜面地に位置する古い寺院を対象に,文献や聞き取りで得た災害履歴の情報と現在のハザードマップの双方から,昔の盛土技術が防災の視点から現在にも有用な合理性をもっていたかどうかを再評価する。
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研究実績の概要 |
2023年度は,1)紀伊続風土記に記載のある寺院を対象に,それらが位置する市町村史や郷土史などに記載されていた情報から現存する寺院の位置を推定し,その位置を仮の位置情報としてデジタルマップに転記する作業を継続した。デジタルマップは,紀伊半島を和歌山県北部(紀北),和歌山県中部(紀中),和歌山県南部(紀南)のレイヤーに分けて整理した。各ポイントは,宗派別に色分けして記録した。文献情報から廃寺や旧地の位置が明らかになった場合は,その位置もマップに記載した。これらマッピングの作業は,当初想定寺院数から推定し,概ね70%まで達成できた。 次に,2)そのマップ情報を元に実際に現地調査を実施し,正確な位置が確認できた寺院と未踏の寺院をマップ上でアイコンを変えて識別する作業を実施した。現地調査では,主に本堂の位置の緯度・経度・高度をGPSで把握し,その他の祭祀建築物,手水舎,庫裏など付帯設備,参道の状況を確認するとともに写真に記録した。また,位置が確認できた旧地,跡地についても場所の把握と写真に記録した。聞き取り調査が実施できた案件では,祭祀の状況(過去含む)や檀家の現状などを聞き取り,得られた情報を記録した。さらに,3)災害史などに記載された被災した寺院の情報を抽出し,その被災状況についても整理した。 さらに,災害のタイプとして,紀伊半島では確認しずらい案件にも着目した結果,紀伊半島以外の地域も調査対象に加えることとし,特に,近隣の四国のデジタルマッピングも実施し,紀伊半島と比較する作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに引き続き,新型コロナウイルスによる活動自粛の影響での社会感の変化により,研究協力者(大学院生)の協力が年間を通じて得にくくなり,かつ,分担者と代表者ともに宿泊しての調査が容易でなくなった影響で,文献調査,現地調査ともに当初計画通りに実施できなかった。このため,分担者と代表者が可能な限りで文献調査,現地調査を積み重ね,今年度だけで現地調査400案件を実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ渦の遅れを取り戻し,現地調査の案件を増やす。また,文献調査は,入手できた資料をさらに精査し,それらを元に移転があった場合は旧地の位置を可能な限りで推定する作業を実施した。また,江戸時代の史誌である紀国名所図会からも情報を抽出し,マップの精度向上を図る。これらと並行し,各寺院の位置と災害ハザードマップを重ね合わせ,立地安全性を評価する。
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