研究課題/領域番号 |
22K18512
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分5:法学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
尾崎 一郎 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (00233510)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 法言語 / 法化 / 美的洗練 / 計量言語分析 / 社会心理実験 / 美的合理性 / 複雑化 / 条文 / 判決 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、専門家ですら読解に困難を覚えるほど、極めて複雑化した現代日本の法言語、すなわち法令の条文と判決文とについて、美的洗練という観点から、簡潔明瞭な言語への転換が人々の法への理解度と共感度を大きく改善することを実証し、法化時代を迎えた日本の法令や判決が今後備えるべき美的合理性の具体的な形を実践的に提言するものである。実証の手段として、法言語の計量分析と実験室を用いた社会心理実験を併用する。
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研究実績の概要 |
現代の法言語の言語学的特徴を把握するための計量言語分析と社会心理実験を行うための準備作業のための研究会を開催した。 具体的には、法言語学者の堀田秀吾明治大学教授と社会心理学者の李楊名古屋大学研究員をお招きし、法社会学者の同僚郭薇准教授と共同の企画で、2022年9月3日に法理論研究会特別例会(報告者:堀田秀吾教授、タイトル:判決文の計量言語学的分析)を開催し、法言語の計量言語分析によって把握するための分析視角と分析例を検討した。すなわち、第1に、法的コミュニケーションにおいては「文法的能力」「社会言語的能力」「方略的言語能力」のいずれについても非常に多様な能力が要請され、発信者のみならず受信者も洗練された能力を必要とすること、第2に、いわゆる一般市民が審理に参加する裁判制度導入前と後では判決文の言語学的特徴に一文の長さが短くなり平易な言葉も多用されているという変化が生じたものの漢字率や専門用語の使用率には有意な変化はなかったこと、第3に、模擬裁判における評議データについての先行研究をもとに、裁判官、陪席裁判官、裁判員それぞれの特徴的な使用単語を抽出するという分析手法が、本研究にとっても有用であること、が確認された。 この研究会の後、同じ問題関心からなり2022年のイグノーベル賞を受賞した海外の先行研究について、さらには社会心理実験で法言語の理解度を測定するための実験・分析手法について、堀田、李、郭薇の三人と断続的にオンラインで協議を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
法令データのコーパス構築の作業をまだ行っておらず、分析手法の確認と、研究協力をお願いしている研究者との問題関心の共有ならびに断続的な協議にとどまっている面があるため。社会心理実験の予備実験も、対面授業の制約もあって、多数の学生相手に行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
法令データのコーパスの構築と、社会心理実験の予備実験に、なるべく早く着手し、コーパス分析と本実験を令和5年度内に行う。
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