研究課題/領域番号 |
22K18514
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分5:法学およびその関連分野
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
深澤 龍一郎 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (50362546)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 行政法 / 行政救済法 / 行政不服審査法 / 公務員法 / 行政裁量 / 実証研究 |
研究開始時の研究の概要 |
わが国の行政法学には、法解釈や法制度設計の際に当然の前提とされているにも拘わらず、実証的に検証されていない「法の機能」に関する命題が存する。本研究は、主として英米法系の諸国で盛んに行われているインパクト研究を、わが国の行政法現象(具体的には、行政不服審査会の答申、公務員の懲戒処分に係る裁量基準及び取消判決)を素材として試行的に実施することによって、わが国では十分に行われているとはいえない行政法学の実証的研究を推進する契機とし、さらには、法解釈や法制度設計の科学性を向上させることを究極的な目的とするものである。
|
研究実績の概要 |
2023年度においては、技術補佐員7名を雇用して、2022年度に引き続き、行政不服審査会の答申が審査庁の裁決に及ぼすインパクト、及び、答申に付された「附言」が当該行政活動に及ぼすインパクトに係る研究を遂行するために必要となる行政文書を収集・整理する作業を行うとともに、地方公務員の飲酒運転に対して免職を警告する懲戒の指針(裁量基準)が公務員の行動に及ぼすインパクト、並びに、当該裁量基準を一律に適用して行われた懲戒免職処分の取消判決が任命権者(懲戒権者)及び公務員の行動に及ぼすインパクトに係る研究を遂行するため、各地方公共団体における懲戒の指針(裁量基準)等の行政文書や、地方公務員の飲酒運転に対する免職処分が争われた判例・裁判例を収集・整理する作業を行った。 また、2024年度において本研究をとりまとめる際には、上記の行政文書に依拠した調査を補足すべく、インタビュー手法を用いた調査を実施することも考えられるところであることから、2023年度においては、海外調査として、オーストラリア連邦のシドニー大学及びオーストラリア国立大学を訪問し、両大学に所属する行政法研究者と意見交換を行い、近時のオーストラリア行政法学の動向、とりわけ実証研究の現状について調査を実施した。これによって、行政法学における実証研究の意義、特に上記のインタビュー手法を用いた調査に対する評価について、有益な知見を得ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度においては、技術補佐員の雇用が計画通りに進まず、行政不服審査会の答申及び答申に付された「附言」が有するインパクトに係る研究を実施するために必要な行政文書を収集・整理する作業に未了の部分があったため、「やや遅れている」と自己評価した。これに対し、2023年度においては、技術補佐員の増員ができ、上記の行政文書、さらには、地方公務員の飲酒運転に対して免職を警告する懲戒の指針(裁量基準)及び当該裁量基準を一律に適用して行われた懲戒免職処分の取消判決が有するインパクトに係る研究を実施するために必要な行政文書や判例・裁判例を収集・整理する作業が順調に進んだこと、その上、海外調査も計画通り実施することができたことから、「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、本研究の最終年度に当たるため、2022年度及び2023年度中に収集・整理した行政文書及び判例・裁判例に基づいて、行政不服審査会の答申及び答申に付された「附言」が有するインパクト、並びに、地方公務員の飲酒運転に対して免職を警告する懲戒の指針(裁量基準)及び当該裁量基準を一律に適用して行われた懲戒免職処分の取消判決が有するインパクトについて、それぞれの有無・程度及びその原因に係る一定の仮説を提示する。また、この仮説を取りまとめる際には、海外調査を実施し、行政法学におけるインパクト研究について優れた先行業績を有する研究者と意見交換を行い、補足的な調査・分析を実施する。
|