研究課題/領域番号 |
22K18516
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分5:法学およびその関連分野
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研究機関 | 国際教養大学 |
研究代表者 |
豊田 哲也 国際教養大学, 国際教養学部, 教授 (40436506)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 国際法史 / 国際法 / 東アジア史 / 東西交流史 / 近代国際法 / 主権国家体制 / 国際法思想史 / 主権国家システム / 非国家主体 / 台湾 |
研究開始時の研究の概要 |
コスケニエミ(Martti Koskenniemi)は、『The Gentle Civilizer of Nations』(2001年)で、1873年の万国国際法学会設立が国家間の平等(主権平等)を基調とする近代国際法実践の重要な契機となったことを指摘し、それと同時に1960年頃に近代国際法の言説は終わりを迎えたとも指摘した。本研究は、コスケニエミによる国際法の「死亡宣告」を受けとめて展開される近代国際法言説の再検討の作業に参画し、とりわけ東アジアの現実の国際関係をどのように法的に構成することが可能であるかという論点において、国際的な研究の発展に貢献するものである。
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研究実績の概要 |
近代国際法は国家を単位として観念される法秩序である。近代国際法については立法機能や司法機能の不完全さについての批判もあるが、より根源的な批判として、国家を単位とすること(「近代国際法の国家中心性」)についての批判がある。近代国際法の国家中心性の現実的な意義は、すべての国家に国家としての特権的地位を認める一方で、国家以外のアクター(個人や非国家団体、非承認国家など)には国家が認める限りでの限定的な法律行為能力しか認めないという点にある。本研究では近代国際法の正当性の喪失と新たな普遍的法秩序をめぐる最新の議論に対し、東アジアの特殊な状況を踏まえて理論的な貢献を為すことを目指している。 東アジアは、近代国際法の枠組みに対する重要な疑念の材料を提供している。それは、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が国連に議席も有して国家としての地位を確立する一方で(ただし日本は北朝鮮を国家承認していない)、地域の国際関係の重要なアクターの一つである中華民国(台湾)が国連に議席を有しないという歪んだ状況である。そうした状況の歴史的な展開について、本研究代表者は、2022年9月に国際法学会で報告を行い、そこでの議論も踏まえて、翌2023年のJapanese Yearbook of International Lawに"Universality and Peculiarity of the Concept of Exclusive Territoriality - The Linearization of Borders and Territorial Sovereignty in East Asia Since the Late 19th Century -"との論文を発表した。また、2023年8月にはインドネシアで開催されたアジア国際法学会のbiennial conferenceにおいて報告を行い、そこでの議論を踏まえて、Indonesian Journal of International Lawに"Exclusive Legal Personality of States in East Asia and the Legacy of Bandung Pragmatism"との論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年度中にロンドンでBritish Libraryを訪問することを計画していたが、同館のシステムに対するサイバー攻撃のために訪問ができなくなり、ロンドン訪問自体を延期することになった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度中にロンドンを訪問し、必要な史料収集を行った上で、分析作業を進めていく。
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