研究課題/領域番号 |
22K18520
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分6:政治学およびその関連分野
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
濱中 新吾 龍谷大学, 法学部, 教授 (40344783)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | サーベイ実験 / LGBT / 同性愛 / 禁忌 / 選好の改ざん / 社会的望ましさバイアス / 社会的決定 / イスラーム / 性的マイノリティ / 政治的態度 |
研究開始時の研究の概要 |
中東社会の同性愛嫌悪については、宗教的禁忌だと見なされているため、世論調査での測定には、社会的望ましさバイアスの壁がつきまとう。そこでバイアスを回避し、宗教的禁忌への寛容性を測定する研究方法として、リスト実験を用いる。本研究では2022年度にヨルダンで、2023年度にパレスチナで実験世論調査を実施する予定である。本研究では中東地域におけるLGBTの受容態度の測定を通じて政治社会発展理論の再構築を試みる。
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研究実績の概要 |
現代においても、イスラームが支配的な中東地域で同性愛は禁忌として扱われており、イランやサウジアラビアでは極刑判決が下される犯罪行為と認識されている。過去には自由主義社会、特にキリスト教の影響がある欧米諸国においても、同性愛が人間の本性に逆らう行為だという解釈のため、処罰および治療の対象と見なされていた。現在の自由主義世界では、同性愛を含むLGBTをめぐる諸課題と対応は、当事者の人権に関わる問題と見なされ、多様性を認める社会のバロメータと考えられるようになっている。本研究は、イスラームが支配的な中東諸国の社会においてLGBTへの(非)寛容性を測定し、個人レベルの同性愛嫌悪の水準を規定する要因の解明とともに、同性愛寛容を基準とした社会発展概念の理論化を目的とする。 この目的を達成するため、本研究では宗教的禁忌への寛容性を測定する実験を行う予定であり、本年度はその準備に費やされた。予備的調査としてカタール国のドーハ大学湾岸研究センターに所属する女性研究者(非カタール人の非ムスリマ)に聞き取りを行ったところ、「禁忌なので教室でもそのテーマは扱うことができない」という回答を得た。本研究をフィールドワークによる聞き取りによって遂行するには長期に渡るインフォーマントとの関係構築を経た後でないと不可能であり、仮にそうした関係が構築できたとしても1人から2・3人の語りを聞くことに限られる。ゆえにそうした調査結果を社会科学的研究に敷衍するには多くの困難があると言わざるを得ない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
基礎的な情報収集と理論研究、サーベイ実験のための準備に時間を当てているが、予定通り進捗しているとは言いがたい。昨年10月からイスラエルのガザ戦争が勃発し、中東情勢が不安定化している。それゆえ現地情勢についての調査も進めなくてはならず、本研究の進展は遅れがちになっていると言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
国内外の研究協力者に依頼して計画を遂行し、実験世論調査のデザインを完成させる。実験世論調査を中東地域のアラブ・イスラーム圏の国々で遂行し、オンライン・サーベイデータを入手する。サーベイデータを分析して研究論文を執筆する。
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