研究課題/領域番号 |
22K18523
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
時松 宏治 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (50415717)
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研究分担者 |
前田 章 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30317309)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 地球温暖化 / 被害関数 / 被害経路 / 被害経路アプローチ / ノンパラメトリック推計 |
研究開始時の研究の概要 |
地球温暖化による経済被害を気温上昇との直接的関係で推計する被害関数は、単純な多項式を前提とした関数の形状とそのパラメータ設定に対し、批判を浴びてきた。この批判に取組む既往研究もまた、経済被害を気温上昇の直接的関係を求め、関数形を前提とする。本研究では、関数形を前提としない2つの方法に挑戦する。1つは経済被害を気温上昇の直接的関係を求める際、ノンパラメトリック推計を行う。もう1つはその直接的関係を求めない「2段階の被害経路アプローチ」を行う。具体的には、暴露応答関係で物理的被害量と気象変数を関係づけ、その被害に対する支払意思額を与える。これにより温暖化の費用便益分析の精度が格段に向上する。
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研究実績の概要 |
天候不順や降水・大雪災害が起こる度に、地球温暖化が遠因とされる。政治アジェンダに温暖化問題は必ず登場し、実際に多額の予算が投じられてきた。その政策決定の度に、費用便益分析を行う温暖化の経済分析モデルにより、温暖化による社会的費用が繰り返し推計されてきた。ところが、温暖化による経済被害を気温上昇との直接的関係で推計する被害関数は、単純な多項式を前提とした関数の形状とそのパラメータ設定に対し、批判を浴びた。この批判に取組む既往研究もまた、経済被害を気温上昇の直接的関係を求め、関数形を前提とする。本研究では、関数形を前提としない2つの方法に挑戦する。1つは経済被害を気温上昇の直接的関係を求める際、ノンパラメトリック推計を行う。もう1つはその直接的関係を求めない「2段階の被害経路アプローチ」を行う。 2023年度も2つのアプローチの文献およびデータ収集とその経済学的な内容把握に取組むとともに、統合評価モデルへの適用方法について検討を行った。「ノンパラメトリック推計」については、被害関数を用いる、あるいは、被害関数を構築する著名な論文で用いるバックグラウンドデータの収集を行った。収集データは、気温上昇、降水量、経済被害、温室効果ガス排出量などである。従来の被害関数は主に気温上昇と経済被害の直接的関係を表す関数形の係数を関数形作成者が決め打ちで与えているところ、本研究ではその係数を誤差項最小化により導出する方法を検討した。「被害経路アプローチ」については、従来の消費を市場財と非市場財に切り分けた上で非市場財を陽に効用関数において表し、さらには従来の被害関数を市場財と非市場財に分ける、という方法を複数確認した。その上で、暴露応答関係も市場財と非市場財に分類し、それぞれの被害に対する支払い意思額を与える方法を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は上記2項目の実施を予定しており、予定していた程度の内容を概ね達成した。
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今後の研究の推進方策 |
ノンパラメトリック推計については、収集したデータセットを基に、上記の導出方法を一通り実施することを目指したい。被害経路アプローチについても上記の市場財と非市場財の扱いの検討を継続し、物理的被害と気象データの関係式の構築や、経済評価部分における所得弾性値や便益移転関数などの推計を試みたい。
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