研究課題/領域番号 |
22K18525
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
藤嶋 翔太 一橋大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (50706835)
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研究分担者 |
藤原 直哉 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (00637449)
青木 高明 香川大学, 教育学部, 准教授 (30553284)
平松 燈 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (30725255)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 産業連関分析 / ネットワーク科学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,産業連関分析とネットワーク科学の融合アプローチにより地域間産業連関表の構築および地域内経済循環構造の解明を行い,自治体の連携のあり方など,地方創生への政策提言を行うことを目的とする.具体的には,(1)企業間取引データを活用した地域間産業連関表の構築と(2)地域間産業連関表においてお金の流れが閉じていると見なせる圏域の抽出を行う.(1)ではリンク予測,(2)ではホッジ分解およびハイパーグラフのコミュニティ抽出と呼ばれるネットワーク科学の手法をそれぞれ活用する.
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研究実績の概要 |
産業連関表におけるお金の流れを勾配成分と回転成分に分解するための予備的分析を行った.その際,まずは産業連関表ではなく,本研究課題の研究グループがこれまで使用してきた人流データ(パーソントリップ調査)を用いた. エリアペアごとに通勤トリップの純流動量(エリアAからエリアBへの純流動量は,エリアAからエリアBへの流動量からエリアBからエリアAへの流動量を引いたもの)を計算して反対称行列を作り,反対称行列が勾配成分と回転成分に分解できることを利用して,ポテンシャルと呼ばれる人流を引き寄せる力を表す特徴量をエリアごとに抽出した.反対称行列の勾配成分は2つのスカラーの差分で表されるが,このスカラーがポテンシャルに相当する. このポテンシャルが高いエリアが人流を引き寄せている場所(シンク),低いエリアが人流を掃き出している場所(ソース)として解釈できるが,その際,エリアペアごとの純流動量をランダムに並び替えたときのポテンシャルの分布と比較して,ポテンシャルが統計的に有意に高いエリアと低いエリアに着目した.その結果,従来の中心地抽出法では見えづらかった複数中心構造が検出された.具体的には,立川,横浜,大宮,千葉などが人流を引き寄せる副都心として検出された. また,今回利用したデータでは移動目的の情報も利用可能なため,通勤目的の人流に加え買い物目的の人流についても統計的に有意なシンクとソースを検出した.その結果,通勤と買い物ではポテンシャルの分布特性が必ずしも一致するとは限らないことが分かった.例えば,町田や藤沢は買い物目的の人流についてはシンクだが,通勤目的の人流についてはソースであるという結果が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
人流データを用いた予備的分析については成果をディスカッションペーパーとして公表することができたが,2022年度が最終年度である他の科研費(18K12776)の論文の改訂作業に時間を割く必要があったこともあり,本研究課題のテーマである産業連関表を用いた分析については未着手のため.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は人流データを用いて,人流の流入先と流出元を統計的有意性を考慮しながら検出する枠組みを開発した.今後は地域間産業連関表を用いて,この枠組みをお金の流れに応用していく.具体的には,以下に重点を置いて研究を推進していく. ・産業ごとに各地域のポテンシャルを計算してそれらの特徴を考察する.また,複数年のデータを使うことで,時系列的変化についても分析する. ・地理的単位をより細かくするため,企業間取引データなどのマイクロデータを用いた市町村間産業連関表の推定について検討する.
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