研究課題/領域番号 |
22K18528
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
関口 倫紀 京都大学, 経営管理研究部, 教授 (20373110)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | アルゴリズミック・マネジメント / 人的資源管理 / AI / ロボット / 行動変容 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、企業が人工知能(AI)とアルゴリズムの技術を用いて業務および人々の働き方を管理する「アルゴリズミック・マネジメント」が発展・普及することによって働く人々の思考・能力・行動が将来どのように変容しうるのかを、産業界における萌芽事例分析、AIやロボットと人間との疑似的コミュニケーションの理解、人間行動の基礎付けとなる神経科学的・進化心理学の援用によって理解していこうとするものである。それによって、アルゴリズミック・マネジメントが普及し一般化する時代において予想される働く人々の思考・能力・行動の変容、その神経科学的・進化心理学的根拠についての新たな知識体系の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題2年目となった令和5年度は、前年度より継続している文献の渉猟を通した近年の研究動向の整理を論文の形でまとめ、「アルゴリズミック・マネジメントが組織マネジメントおよび人々の働き方に与える影響」というタイトルで経営行動科学学会年次大会において発表した。その後、論文で整理した論点に基づき、将来AIがどのように組織や人々の働き方に影響を与えるかについての論考を、「次世代の組織マネジメント~AI主導の業務管理は実現するのか?~」「新たな職種の登場や労使関係などパラダイムシフト~AIが人をマネジメントする~」という形でオンライン掲載をした。また、将来より進展していくと思われるアルゴリズミック・マネジメントの萌芽的な事例としてのプラットフォーム労働、ギグワーカーといった業態および就業形態に着目し、プラットフォーム労働やギグワークについての文献をさらに調べるとともに、これらの業態で働く人々からのデータ収集を可能にする研究プラットフォーム構築の方法を本研究課題に関心がある大学院生と共に検討した。また、近年の生成AIの急速な発展に着目し、生成AIを用いたチャットシステムのパルスサーベイへの応用可能性、従来のサーベイ方式と比較した際のメリット・デメリットについて考察した。未来におけるAI・ロボット・アルゴリズムとの協働のあり方を探るための思考実験については、当該方法論に関する情報収集とリサーチクエスチョン、論点整理、実験操作についての準備を始めた。AIやロボットとの職場におけるコミュニケーションの今後の見解を探るための脳科学・神経科学との接合については、引き続き文献収集を行なった。さらに、アルゴリズミック・マネジメントの萌芽的企業事例の検討に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度より行ってきた文献の渉猟に基づく成果を、学会報告論文および論考のオンライン掲載という形で発信することができたが、学際的な要素が強い本研究課題における将来に向けた論点整理がまだ十分に達成できとらず、生成AIの急速は発展と普及など、研究計画当初と比べても近年は大きな技術変化およびトレンドの変化が生じているため、これらの技術動向の理解などにもキャッチアップが必要であった。さらなる時間がかかるものと思われる。また、思考実験、脳科学との接合、事例研究についても、研究方法論の検討に時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、大きな目的としては将来アルゴリズミック・マネジメントが組織や人々の働き方をどう変えていくかについての一定の見解を得るものであるが、それを可能にするためには、近年の急速な技術発展と新しい技術の普及動向を注意深く観察し、トレンドを見極める必要性もある。これには、生成AIをはじめとする新しい技術がいかなる形でアルゴリズミック・マネジメントそのものを進化させていくのかについての萌芽的事例の収集と将来予測のための理論枠組みの構築が求められる。このことを踏まえ、令和6年度は、アルゴリズミック・マネジメントに関する新しい理論構築と思考実験による検証を急ぐと共に、それをエビデンスベースで補強するための実証データの収集方法についても引き続き検討を進めていく。
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