研究課題/領域番号 |
22K18531
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
市橋 勝 広島大学, 人間社会科学研究科(国), 教授 (10223108)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 古代経済史 / 経済発展 / 流通史 / 古代日本経済 / 漆 / 勾玉 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、古代日本経済における漆と勾玉の生産と流通を中心に基礎的研究を行ないながら、日本人のルーツが何処にあるのかという考古学的テーマにも取り組むものである。 漆や翡翠を中心とした日中韓の交易、ミャンマー、台湾等との比較などの検討から、日本及びアジア各地域の古代経済の発展とその要因を分析する研究は存在していない為、本研究は、古代日本の発展を生産と交易の進化的過程という視点から具体的に分析を試みる初めての経済史研究となる可能性を持っている。
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研究実績の概要 |
本研究は古代日本の漆器と勾玉の生産に焦点を当てた研究となるが、その主要理由は出土される分布が極めて限られていることと、その原材料の分布も地理的に限定されているからである。 2022年度は、勾玉及び漆器生産とその流通がどの程度の範囲まで広がっているのか、「古事記」「日本書紀」での記述を手掛かりに、長崎五島列島、対馬、壱岐、島根県隠岐、新潟県佐渡などを中心に遺跡と出土品の分布状況を視察し、資料収集を行なった。全ての諸島において勾玉の出土があることは確認されている(但し翡翠製のものとは限らない)が、それは各地で現地生産されたものではなく糸魚川の硬玉翡翠を中心に交易で分布されたものであると推察されるものの、いかなるルーツでそれが入って来たのかまで特定するには、更なる調査と資料が必要である。、 また、漆生産については福井県若狭の鳥浜貝塚を視察、加えて同地の年稿博物館において過去7万年間の地層分析の方法、炭素年代測定法の基礎について知見を得た。 生物が体内に取り込んだ空気中の放射性炭素(炭素14)は5730年毎に半減期を迎えるため、炭素14の残存量を調べるとその生物の骨が死後どれぐらい経っているのかが分かるという規則性から炭素測定法が開発されたわけだが、大気中の放射性炭素量は時代によって異なるため、この測定方法では誤差が数百年から数千年の規模で生じるとされる。福井県水月湖で発見された年稿は約7万年の地層を示している為、この年代測定法を正確な年代に変換できる推定法のデータが提供され、これを用いた修正法IntCalが年代補正データ(較正曲線)として世界標準とされている。このような手法の改善は古代社会の状況を把握する上でも有益である。 年代測定法に関する知見は直接本研究の成果と関連はしないものの、古代遺跡の出土物年代を特定する手法として参考となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍における渡航制限や規制、更に内紛の継続などにより、予定していたミャンマーへの視察が行えていない事や、中国での調査も地元の共産党組織や地方政府への理解が得にくい状況のため、海外における漆生産や勾玉生産の起源に関する考察が進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
コロナの沈静具合にも依るが、可能性を見てミャンマー、中国南西部、韓国南部への視察調査を行う予定である。加えて、ラオス、ベトナム、台湾、環太平洋・ハワイ地域への調査も行っていきたい。 国内は、北海道南部・東北地域、九州南東部、沖縄地域での遺跡と出土品調査の流通ルートに関する資料収集を行う予定である。
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