研究課題/領域番号 |
22K18533
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
井上 寛康 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 教授 (60418499)
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研究分担者 |
戸堂 康之 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30336507)
伊藤 伸泰 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, チームリーダー (70211745)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | サプライチェーン / シミュレーション / 並列計算 / 災害 / パンデミック / 再構築 |
研究開始時の研究の概要 |
大規模かつ網羅的な企業間取引データ・国際取引関係データなどを用い、複雑性を排除せずに企業活動を再構築の動的な過程も含めてモデル化する。そして、スーパーコンピュータ「富岳」など大型並列計算機を用いたシミュレーションにより、感染症・災害発生時により生じるサプライチェーンの混乱に対して、個々の企業がどのように備えるべきかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、大規模かつ網羅的なサプライチェーンデータを用いることで、複雑性を排除せずに企業の生産活動をモデル化し、富岳コンピュータを用いたエージェントベースシミュレーションにより、災害・感染症対策発生時に企業のサプライチェーンをどのように組み替えることが経済全体の被害を抑えるか分析することである。本研究では、東京商工リサーチより提供される企業数160万以上、取引関係600万以上の日本のサプライチェーンデータと、政府統計である経済センサス・企業活動基本調査から得られる600万にのぼる事業所と企業の輸入・輸出に関する詳細データである。サプライチェーンデータは2006年から2018年まで各年であり、東日本大震災やリーマンショックなどでサプライチェーンがどのように組み変わったかの検証している。また、我々のエージェントベースモデルに実証的事実を含めた仮説を実装しながら、現実的かつ被害を最小限に抑えるようなサプライチェーン組み換え戦略を探索する。またネットワーク上の探索空間は膨大であることから、進化的計算手法など最適化アルゴリズムもすでに検証済みである。 今年度は、昨今の国際情勢を鑑み、輸入・輸出のショックが我が国に与えられたときに、どのように組み替えることが有効であるかを検証した。結果として、ある企業が供給不足のサプライヤの代替先を探す際に、その企業にとって競合先となるような、すなわちサプライヤを共有しているような企業から代替可能であるサプライヤを探すだけで、全国の企業からサプライヤを探すこととほとんど遜色がない結果が得られることがわかった。これは政策や企業の自衛にとっても非常に重要な発見である。このような検証は、この大規模なサプライチェーンシミュレーションによってのみ可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以前としてコロナの影響で予算の消化自体は、出張を控えるなどしたため、進んでいないが、研究の進捗は極めて順調である。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでの取り組みは従来のモデルを応用しただけに留まっている。これを拡大し、より包括的な社会・経済シミュレーションとして発展させる。具体的には、パンデミックのケースの場合、経済と感染予防はジレンマの関係にあるが、経済と感染予防の両方をシミュレーションとして統一的に行うことで、より現実的な検証が可能となる。また、在庫の確保にかかる費用を考慮し、在庫を蓄えて備えるのがよいのか、サプライヤの代替先を探索しその費用を抑えるべきであるのか、こちらもジレンマがあるため、在庫の実際のデータがあることから、現実的な検証を行うことを目指す。
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