研究課題/領域番号 |
22K18537
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
鬼頭 朋見 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (50636107)
|
研究分担者 |
島岡 未来子 早稲田大学, 研究戦略センター, 教授 (10614612)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | チームワーク / リーダーシップ / フォロワーシップ / アイディア創出 / 会話分析 / ネットワーク / 創発 / ネットワーク科学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、三者以上から構成されるチームにおいて、リーダーシップ(L)とフォロワーシップ(F)が創発する動的過程を追究し、良いチームワーク実現に寄与するフォロワーシップの特徴を体系的に明らかにすることを目的とする。 そのために、実際のチームワークの様子を録音した会話データを収集し、ネットワーク科学に依拠した手法で分析することで、L-F関係の理論的枠組を三者以上の関係性へと拡張する。既存知見が乏しいFを捉え、三者以上で起き得る複雑で動的な関係性を定量的に分析する点が、本研究の大きな挑戦である。収集するデータは希少性が高く新規性が高い。本研究の実現は、定量的なチームワーク科学の方法論確立に貢献する。
|
研究実績の概要 |
本研究課題は、三者以上から構成されるチームにおいて、リーダーシップとフォロワーシップが創発する動的過程を追究し、より良いチームワークの実現のための知見を導出することを目的としている。 初年度である今年度は、まず分析に用いるデータの選定をおこなった。我々は、複数の事業アイディア創出ワークショップのチームワークを捉えたデータ(複数チームのアイディア創出ディスカッションの会話ログ)や、チーム内の関係性をとらえたデータ(各チームメンバーに、他メンバーとの関係などを尋ねたアンケート調査の結果)を保有している。また、創出されたアイディアには、専門家による評価値も付けられている。これらのうち、録音の質、プログラムの日数、メンバーの多様性、メンバー数の均一性など、さまざまな条件を考慮した上で、今年度は1つのプログラムに分析対象を絞った。このプログラムでは、5人編成4チームが3日間にわたるディスカッションをし、最終評価の良いチームと悪いチームがそれぞれ2チームずつであった。 このデータに対し、まず、意図を捉えるタグや、議論のフェーズを捉えるタグなどを、各発話に付した。その上で、詳細なチーム間比較をおこなった。その結果、2日目までにメンバーの役割が創発し定着していたチームのパフォーマンスが良かったことや、強いリーダー・フォロワー関係が創発しても、それが排他的で他メンバーに認められない場合にはパフォーマンスに寄与しないことなどが明らかとなった。また、比較対象として今後どのプログラムのデータを新たに分析すべきかについても特定した。さらに、今後の分析において、タグ間の関係性を動的ネットワークとして表現する手法を考案し、その可能性・可視化の方法などについて模索した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は、リーダーシップとフォロワーシップに主眼を置く予定であった。しかし分析を進めるうちに、それ以外の要素(議論のフェーズ、ファシリテーションなどの役割の分担、創出アイディアの内容)を詳細に追究する必要性を認識した。そのため、当初の目的からは多少離れた分析・モデル化を現在は進めている状況である。 とはいえ、初年度の時点で、1つのプログラムに絞った分析ではあるものの、既存研究では示されていない知見をいくつか得ることができ、権威ある国際会議にも採択されたため、研究は順調に進んでいると言える。 また、すでに次年度着手すべき課題が見えているため、2年目も滞りなく研究が進められると期待している。
|
今後の研究の推進方策 |
1年目に、動的ネットワークの可視化の専門家に何度か相談し、どのような入力データを構築すべきかなどについて一定の理解を得た。2年目以降は、ディスカッションの様子を有効に可視化する手法の構築にも挑みたいと考えている。 また、データを増やして比較分析を行う。すでにおこなった分析との比較が可能なデータを特定済であるため、この作業は(時間は掛かるものの)スムーズに進められると考えている。 さらに、元々予定していたとおり、ネットワーク科学に依拠した分析手法の確立を目指す。現時点では十分な手掛かりが得られていないものの、既に専門家からの助言も受け、まず着手すべき手法は特定できているため、2年目はその手法の適用を行う。
|