研究課題/領域番号 |
22K18562
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分8:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
大高 研道 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (00364323)
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研究分担者 |
田中 夏子 都留文科大学, 教養学部, 非常勤講師 (30257505)
藤本 穣彦 明治大学, 政治経済学部, 専任准教授 (90555575)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 協同労働 / 労働者協同組合(ワーカーズコープ) / 持続可能性 / 地域づくり / 社会的連帯経済 / サブシステンス労働 / 意見反映 / 集団的自己決定 / 主体形成 |
研究開始時の研究の概要 |
2020年に成立した労働者協同組合法は、「働く意味の空洞化」が深刻化している現代社会において、既存の働き方を見直す契機になるだけでなく、社会的困難にある人びとや高齢者などが多様性を認め合い、潜在能力を高め合いながら共に働く持続可能な社会の実現に資することが期待されている。その一方で、「協同労働」はいまだ発展途上の概念であり、法律が前提とする(狭義の)「協同労働」と市民が実践の中から構築してきた(広義の)「協同労働」がどのような相互作用を生み出すのか、その検討は喫緊の課題といえよう。本研究では、実践と理論の往還にもとづく対話型調査を通して、二元論を超えた新たな労働・活動理論の構築をめざしたい。
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研究実績の概要 |
2022年度の主たる研究活動は、2022年10月1日に施行された労働者協同組合法の特徴・現代的意義・課題等の検討と併せて、施行にむけた関連省庁や自治体等の対応について、その動向を把握することであった。これらについては、基調講演(厚生労働省:2022年9月17日/埼玉県産業労働部:2022年9月3日)等を通して、法施行に関わる諸課題を制度と実践の両面において把握することが出来た。また、アップデートのデータや制度・実践面の現状については、『日本労働年鑑』第92集(2022年6月)および93集(近刊)にて整理した。 他方で、労協法の最大の特徴は、働く者が自分たちで出資して事業運営に決定権を持つことを基本原理としていることにある。しかし、その中心概念である協同労働に関しては十分に理解され、共有されているわけではない。そこで、法律が前提とする「労働者どうしの協同労働」と、市民が実践の中から構築してきた「利用者や地域との協同を含めた協同労働」を統一的なもの、連続的なものと捉え、両者がどのような相互作用を生み出すのかという側面に着目した研究成果が、日本協同組合学会シンポジウム報告(2022年9月10日)である。 実証研究では、若者支援事業をきっかけに多様な仕事づくりを地域に展開してきた実践(兵庫県豊岡市)、過疎が進行する地域の住民たちとともに仕事おこしに取り組む中で失いつつあった地域のほこりを取り戻し、「あきらめ」や「おまかせ」志向を主体的な意識に転換している実践(宮城県登米市)、ふるさと再生雇用事業を活用した無認可保育所・学童保育・生活総合支援などの複合的事業の蓄積をベースに第三の居場所事業に取り組んでいる実践(鹿児島県奄美大島)、および比較的歴史の長いワーカーズコープ(東京都町田市、埼玉県深谷市など)のフィールド調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年10月1日に施行された労働者協同組合法は、44年ぶりの協同組合関連法の施行であるだけでなく、閉塞する社会へのひとつの対応策という観点からも大きな意味を持つものであったため、理論・制度・実践において多面的な議論が展開し、それらへのフォローアップに多くの時間とエネルギーを割くことになった。そのため、共同研究活動は定期的に実施した理論研究会が中心となり、同じ現場を研究メンバーが見て、多面的な角度からの実践検討を目的とする共同調査活動を十分に行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き本研究課題の関連概念(ケア、利他、中動態、当事者研究、社会的自由等)の検討会を定期的に実施し、協同労働を基盤とした持続可能な地域づくりに関する基盤理論の構築に努める。 実証研究に関しては、研究代表者・分担者間の研究会議は定期的に実施しており、調査課題や分析方法については共有しているが、具体的な事例に即した調査分析枠組みの再構築は課題である。よって、情報収集のみならず調査内容・方法の検討および集約的現地調査も共同研究機関である日本労働者協同組合連合会と協同総合研究所と連携して実施する体制を整える。
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