研究課題/領域番号 |
22K18587
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
宮地 弘一郎 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (40350813)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
|
キーワード | 入院児 / 遠隔交流 / XR / ICT / 病弱教育 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、XR(Cross Reality)技術と、クロスモーダルな手法を駆使して、直接対面の共有感に迫るリモート交流を実現し、さらに従来にない創造的・教育的活動を試みることである。 VR (Virtual Reality)やMR(Mixed Reality)を用いた交流と従来型リモート交流との比較、視・聴・触・運動のクロスモーダルなリモート技術の開発から、共有感の高いリモート交流を実現する。またXRによる協働で病棟の装飾を創造し、現実の病棟に反映する協働創作活動『病院つくーる』を行う。 以上より、入院児支援の継続性を保障し、のびやかな発達を支援する新しいアプローチを提案する。
|
研究実績の概要 |
2022年度は、以下の研究課題を実施した。 1)XRの入院児交流への活用についての基礎検討:入院時交流に使用するための有効なVR機器およびMR機器の検討と、その環境整備を行った。VRゴーグルについては、長野県の病弱特別支援学校に配備されているVRゴーグルの同型機(Meta製Meta Quest2)を使用し、VR空間の体験効果についての基礎検討を行った。VR空間での体験は現実の視覚活用にも影響を及ぼす可能性が示され、入院による日常生活の空間的な制約に対して有効な体験となる可能性が示された。MRゴーグルについては、障害者支援のためのMR研究を実施している研究者への聞き取り調査を行い、市場動向の確認と有用な機器の候補選定、課題の確認を行った。その結果、交流のためには位置情報設定を簡易に行うための検討が必要であること、また現在、市場動向が大きく変化しつつあり、より安価で一般消費者向けの機器が開発されてきていることが明らかとなった。 2)視・聴・触・運動のクロスモーダルなリモート交流:リモート交流で共有困難とされる触覚と運動感覚を加えた交流方法の基礎検討を行った。音と振動をリモートで同時共有可能な遠隔触覚ドラムについて、学校教員、病棟保育士、特別支援教育を学ぶ大学生を対象とした体験会を実施し、その有用性と課題について明らかにした。質問紙調査の結果、学校教員や病棟保育士は、体験を通して触覚のリモート共有の有効性を高く感じていた。触覚共有を活用した交流活動の内容についてはこれからの検討が必要と思われたが、体験会において様々な活動内容が提案された。支援職や児童生徒等を対象に体験あるいは実際の交流実践の試行を行い、試行の中で有効な活動内容の検討を行うことが重要といえる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたMR技術の導入については、2022年度中に大きな市場の変化が生じたため、交流においてより有効な機器および方法を検討する必要が生じている。そのため本年度研究では基礎的検討のみとした。一方で、当初は2023年度に行う予定であった遠隔触覚ドラムについて、当初予定を超えて開発が進んだことから、計画を前倒しして進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
入院児支援におけるXR技術の導入について次年度も引き続き進める。また、触覚遠隔ドラムを用いたクロスモダリティな遠隔交流について、具体的な介入研究を進める。さらに、海外の病院における取組について、調査を実施する。
|