研究課題/領域番号 |
22K18590
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
林 雄介 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (70362019)
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研究分担者 |
平嶋 宗 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (10238355)
松本 慎平 広島工業大学, 情報学部, 教授 (30455183)
工藤 洋路 玉川大学, 文学部, 教授 (60509173)
松本 博文 玉川大学, 文学部, 教授 (80328020)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 英語長文読解 / 概念マップ / キットビルド方式 / ベイジアンネットワーク / キットビルド / 英文読解 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,英文読解の学習支援として,学習者が英文の精読し,それに対して教師が個別適応的なフィードバックを行える学環境を実現することである.ここで目指す学習者像は,例えば,一般的な多肢選択型の理解確認問題において単に正解できるだけではなく,その理由としてテキストを参照できる学習者である.これを実現するために,英文読解のタスク定義,確率モデルによる分析,データに基づくフィードバックという3つの課題を設定し,キットビルド方式の概念マップとベイジアンネットワークに英語教育の知見を統合することによって実現を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,英文読解の学習支援として,学習者が英文を精読し,それに対して教師が個別適応的なフィードバックを行える学習環境を実現することである.ここで目指す学習者像は,例えば,一般的な多肢選択型の理解確認問題において単に正解できるだけではなく,その理由としてテキストを参照できる学習者である.これを実現するために,英文読解のタスク定義,確率モデルによる分析,データに基づくフィードバックという3つの課題を設定する.これらの課題を達成することで,学習者に読解を明確なタスクとして提示することでガイドすると共に,成果物から学習者の読解状況を把握して,教師によるデータを根拠とした指導を支援する学習環境を実現すると共に,その効果を実際の学校での利用などを通じて実証する.本年度は,過去に行った実験データの分析を深めると共に,英文読解問題の分析を行った.手法としては,キットビルド方式による概念マップ(KB概念マップ)の作成状況と理解確認問題の正誤をベイジアンネットワークでモデル化を行った.KB概念マップは概念マップを学習者自身が自分で作成するのではなく,教師が目標とする概念マップ(ゴールマップ)を作成し,それを分解して学習者に部品として提供するものである.ベイジアンネットワークはベイズの定理に基づき,条件付き確率のネットワークとしてモデル化対象の関係を表すものであり,KB概念マップと理解確認問題の正解の間で関係性が示されれば,KB概念マップが学習者の文章理解状況を表していると考えることができる.結果として,問題の正誤に対して確率的に因果関係のあるKB概念マップの部分は英語長文で正解に関係する部分と対応していることが多いことが分かった.これは学習者の文章理解状態の把握にKB概念マップの情報が利用できる可能性を示唆していると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度はこれまで得られたデータの分析を進めることで,キットビルド概念マップとベイジアンネットワークを組み合わせることによって英語長文と理解確認問題を数理的な確率モデルで関係づけることの可能性が示唆されるデータを取得することができた.これは学習者に読解を明確なタスクとして提示することでガイドすると共に,成果物から学習者の読解状況を把握して,教師によるデータを根拠とした指導を支援する学習環境の実現の可能性を示唆するものといえる.しかし,文章全体の概念マップ作成は学習者には負担も大きく,学校教育での限られた時間で実施することは難しい.そのための要点を押さえた概念マップの簡略化に関しての設計に関して遅れが出ている.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果から,提案手法での英文のKB概念マップを利用することによって,学習者の英文理解状況の推定が行えることが分かった.本研究の目的は,英文読解の学習支援として,学習者が英文を精読し,それに対して教師が個別適応的なフィードバックを行える学習環境を実現することであり,英文理解状況の推定を個別適応的なフィードバックにつなげる必要がある.現状は,学習者の英文読解活動をそのままの形でモデル化し,そのプロセス全てを実行させるという形式になっているが,英文全てを精読し,概念マップの形で表現するということで学習者の負担が大きい.よって,学習効果を減少させずに,学習者が実施しやすい形を見いだすことが必要となる.この点について,英語教育の実際をよく知る共同研究者と共に,実際の授業を踏まえた運用の形態を検討していく.
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