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インクルーシブ教育での「障害ユーモア」の活用は障害観をいかに変化させるか

研究課題

研究課題/領域番号 22K18592
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分9:教育学およびその関連分野
研究機関九州大学

研究代表者

田中 真理  九州大学, 基幹教育院, 教授 (70274412)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
キーワード障害理解 / ユーモア / インクルーシブ教育 / 障害ユーモア / 発達障害 / 障害 / 障害観
研究開始時の研究の概要

本研究では、障害の有無に関わらず多様性を包摂する社会に向けて、「障害ユーモア」がインクルーシブ感覚の醸成にいかに貢献するか、障害観の観点から検討することを目的とする。研究の意義は以下の3つである。①社会の基底にある「障害観」をチェンジし、障害の有無に関わらず多様なひととひととのコミュニケーションを拓く先駆的な研究となる。②インクルーシブ感覚の醸成を促し潜在的認識の変容をはかる。③障害観の不適合のあるひととひととの関係性を検討することで、障害ユーモアを発信する障害当事者にとって、セルフスティグマの問題や障害ユーモアが支持的ユーモアとして有効ではないかという新たな仮説と研究領域を創出する。

研究実績の概要

【問題と目的】 本研究は、障害の有無に関わらず多様性を包摂する社会に向けて、「障害ユーモア」がインク仮説は以下の通りであった。
仮説1:統制刺激よりユーモア刺激の方が受講意欲が高くなる。
仮説2:関心・知識・不公平感・抵抗感・潜在的態度それぞれの得点の低群のみで,統制刺激よりもユーモア刺激の方が受講意欲が高くなる。
【方法】対象者:大学生37名。調査内容:関心の程度(1項目7件法),合理的配慮に関する知識(10問4択),不公平感(8項目7件法),抵抗感(18項目7件法),IAT。刺激:合理的配慮に関する研修の,ユーモア動画刺激と統制動画刺激の予告動画(各1分間)。手続き:質問紙を実施後,全ての対象者にユーモア動画刺激と統制動画刺激の予告動画をそれぞれ呈示し,それぞれについて本編での受講意欲の程度と理由を尋ねた。
【結果】刺激の種類(ユーモア/統制)を独立変数,受講意欲を従属変数とした対応のあるt検定を実施したところ,ユーモア動画の方が統制動画よりも受講意欲が有意に高かった(t = 2.10, p < .05 )。刺激の種類(ユーモア/統制)×関心・知識・不公平感・抵抗感・潜在的態度得点(高群/低群)それぞれを独立変数,受講意欲を従属変数とした2要因混合分散分析を行ったところ,関心の高低の主効果のみが有意であり(F (1, 35) = 16.19, p < .01),その他については交互作用・主効果共に有意でなかった。
【考察】受講意欲を高める刺激として,必ずしもユーモアが有効とは言えないことが示唆され、理由として,そもそも障害理解教育の重要性や価値の理解が乏しかった可能性が挙げられた。 一方,研修動画においてはユーモアを用いたが,受講意欲が高まることが示唆された。ユーモアのある教材には,①記憶の定着の促進や,②親しみやすさ等の態度変容の促進も期待された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

対象者のリクルートも順調に進んでいることから、計画通りの遂行が可能である。

今後の研究の推進方策

2022年度・2023年度より障害ユーモアを笑うことへの抵抗感により態度変容が生じにくい可能性が考えられたため,2024年度では,合理的配慮の研修にユーモアを取り入れ,知識と態度変容に与える影響について検討を行うことを目的とする。なお,ユーモアの説得効果は,説得内容と当初の態度が一致しない場合に特に大きいため(Gruner, 1967),障害に対する態度が否定的な場合には,より効果的と考えられる。2024年度に検討する仮説は以下の通りである。仮説1: ユーモア群は統制群に比べて知識得点がより上昇する。態度 仮説2: プレ不公平感低群は高群よりも不公平感得点の変化量が大きい。仮説3:プレ抵抗感低群は高群よりも抵抗感得点の変化量が大きい。仮説4:プレ潜在的態度低群は高群よりも潜在的態度得点の変化量が大きい。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 自閉スペクトラム症支援としての「ユーモア」と「ツッコミ」の有用性:ユーモアを導入している支援者へのインタビューを通して2023

    • 著者名/発表者名
      脇浜幸則・田中真理
    • 雑誌名

      九州大学心理学研究

      巻: 24 ページ: 41-52

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 自閉スペクトラム症者における”かわいい”の定義:対象の属性、認知、感情および行動、機能に着目して2022

    • 著者名/発表者名
      大野愛哉・田中真理
    • 雑誌名

      リハビリテーション心理学研究

      巻: 48-1 ページ: 1-22

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 発達障害学生支援におけるピアサポーター学生の役割葛藤と支援認識:グループワークの実践報告2022

    • 著者名/発表者名
      田中真理・佐藤静香
    • 雑誌名

      九州大学インクルージョン支援推進室年報Inclusion and accessibility

      巻: 7 ページ: 78-86

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 障害理解教育におけるユーモアの効果(1) 発達障害に関する障害ユーモアが知識・態度に与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      大野愛哉・ 南晴香・ 脇浜幸則・ 上田綾香・田中真理
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第61回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 障害理解教育におけるユーモアの効果(2) 合理的配慮に関する研修動画におけるユーモアが受講意欲に与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      上田綾香・南晴香・脇浜幸則・大野愛哉・田中真理
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第61回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 自閉スペクトラム症者支援としてのユーモアとツッコミの有用性2023

    • 著者名/発表者名
      脇浜幸則・田中真理
    • 学会等名
      日本発達心理学会第34回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ”かわいい”が自閉スペクトラム症者の視覚探索課題パフォーマンスに与える影響2022

    • 著者名/発表者名
      大野愛哉・田中真理
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第60回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-07-05   更新日: 2024-12-25  

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