研究課題/領域番号 |
22K18614
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
井上 仁 中村学園大学, 流通科学部, 教授 (70232551)
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研究分担者 |
岡本 清美 大阪大学, マルチリンガル教育センター, 講師 (20533631)
隅谷 孝洋 広島大学, 情報メディア教育研究センター, 教授 (90231381)
山川 修 福井県立大学, 学術教養センター, 教授 (90230325)
安武 公一 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 准教授 (80263664)
多川 孝央 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 学術研究員 (70304764)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 学習分析 / 位相的データ解析 / パーシステント・ホモロジー / ラーニングアナリティクス |
研究開始時の研究の概要 |
学習分析の実践研究はこれまで多くの成果を挙げているものの、理論的な分析の枠組みができていないために、ある授業での学習分析の結果と、それに基づく教育改善の実践事例が他の授業にそのまま適用できないという問題がある。また、学習分析の対象データは、学習管理システムの履歴、小テストの評点、ネットワークにおける行動等多岐に渡るものの、分析の多くが古典的な統計的手法に基づいているため、データが大量かつ複雑になると詳細な分析が困難となり重要な情報を抽出できないことがある。本研究では、データを位相幾何学的に捉え、データの形を代数的に把握する「位相的データ解析」により、学習分析の新たな枠組みの構築を試みる。
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研究実績の概要 |
今年度は、学習分析の新たな手法として位相的データ解析の適用を試みた。公開されている教育データに対して、パーシステント・ホモロジーを解析し、成績によって分類されたデータの特徴を考察した。その結果、上位と下位の成績グループは同じ位相構造をもつが、中位のグループとは異なる位相構造をもつことが示唆された。 具体的には、学習管理システムの学習者活動記録ツールによって収集されたデータセット(Amrieh et al., 2015, 2016)を対象にした。16個の特徴量と3段階に分類された成績から構成され480レコードである。このうち値が整数である4個の特徴量と成績を利用した。 実験方法は、まず3段階の成績グループに対して、バーシステント図を作成し、連結成分(H_0)と穴(H_1)の生成と生存時間を調べた。各成績グループのレコード数は、142、211、127であるため、成績グループごとのパーシステント図だけからは特徴を断定することができない。そこで、各グループに対して50レコードをランダムに抽出しパーシステント図を作成することを1万回行い、同じグループごとに図を重ね合わせることにより特徴を見出した。 上位と下位の成績グループは同じ位相構造をもつが、中位のグループとは異なる位相構造をもつことが示唆された。この理由は、4個の特徴量のうち3個を選択して散布図を描くと、上位と下位の成績グループはどの特徴量も大きいあるいは小さく各データ点がかたまっているのに対して、中位のグループは特徴量が大きいものと小さいものが混ざっているからではないかと推察した。この結果、穴(H_1)の消滅時間が長くなったのではないだろうかと考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の他大学への異動に伴い、研究計画時に想定していた全学規模のデータを利用することが不可能になった。そのため今年度の研究では、一つの公開データセットに対してのみ適用となった。今後、他のデータセットでも同じ傾向であるかを解析する必要がある。本手法では、データセットの特徴を捉えられるが個々のデータについて把握することができない。そのため、個々のデータについてもデータの特徴を把握する枠組みの構築が必要である。また、成績予測への適用可能性について検討するに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
全学規模のデータの利用が不可能になったので、公開データや他の方法により多くの教育データを収集する。そのデータに対する分析を実施することにより、データに依存しない特徴が抽出できるかを検証する。また、データセット全体の特徴だけでなく、個々のデータの特徴を把握する手法について検討する。また、成績予測への適用可能性についても検討する。
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