研究課題/領域番号 |
22K18619
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
根上 生也 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 非常勤教員 (40164652)
|
研究分担者 |
中本 敦浩 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (20314445)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 算数・数学教育 / 基礎数学力 / 離散数学 / 探究活動 / アプリの利用 / 未来の教育 / 数学教育 / 算数教育 / 技術的特異点 / 計算しない数学 / Singularity |
研究開始時の研究の概要 |
2046年にはいわゆるSingularity(技術的特異点)を迎え,人工知能(AI)が人間の知能を越えると言われている。その成否はともかく,誰もがAIが搭載されたスマホやタブレットを日常的に携帯し,それを活用して生活する時代が訪れることは間違いない。となれば,未来の学校では子どもたちもPC やタブレットを使って問題解決するようになっており,「計算はアプリがする」を前提に算数・数学の授業が行われているのではないか。そういう未来を想定して,新たな理念に基づく算数・数学教育を設計し,Singularity 以後にも価値のある人間固有の数理的な認識力や判断力の育成を中核としたカリキュラム設計を試みる。
|
研究実績の概要 |
これまでに研究代表者が執筆した書籍『基礎数学力トレーニング』(日本評論社)や『計算しない数学』(青春出版社)に書かれていることを分析し、そこで展開されている「基礎数学力」の考えが当研究における教育理念の創出の原点となっていることや、そこで展開されている離散数数学的な課題の有用性を再確認した。その考えの延長上に未来の算数・数学教育の在り方を構想し、アプリやAIを活用することを前提とした算数・数学教育の在り方を検討した。 従来、子どもたちの思考力は、直観的段階、操作的段階、抽象的段階を経て発達していくと言われており、学校教育における算数・数学のカリキュラムも、その思考段階の発達に沿うように内容が配置されていると言われることが多い。しかし、小学校から中学校、高校へと連なる長い年月の中で子どもたち自身がその発達段階の進展を体感することは難しいだろう。そこで、ある離散数学の問題を題材にして、1つの授業の中で「直観→操作→抽象」という思考の発達を子どもたち自身が体感できるような探究活動を考案し、その活動の中でオンラインで活用できる動的なアプリをJavascriptで開発した。実際、ある女子高校でそれを使った実践授業を行ったが、文系・理系を問わず、自ら答えを探して問題解決する数学を新鮮に感じており、それを歓迎する声が多かった。この実践の結果をもとに、「計算はアプリがする」をスローガンとする算数・数学教育の理念を深化させていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当研究初年度の目標は未来を見据えた算数・数学の教育理念を創出することであるが、単に言葉の上での理念創出にとどまらず、研究代表者自身がJavascriptプログラミングの技能を修得し、自らの考えに従ってアプリケーションを開発できるようになったので、理念の妥当性の検証などを行う準備が整いつつある。また、創出した理念に従って設計した探究活動の実施に協力していただける高校も確保できた。
|
今後の研究の推進方策 |
オンライン・ミーティングなどを随時開催し、多くの教育関係者と意見を交わすことで、創出した教育理念を練り上げていく。その一方で、いろいろな数学的な課題解決に活用できるオンライン・アプリを多数開発し、協力校でそれを用いた探究活動を授業実践し、アンケート調査を行って、「計算はアプリがする」をスローガンとする教育理念の有効性を検証する。そうした活動を踏まえて、理念の高度化を図っていく。
|