研究課題/領域番号 |
22K18632
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 医療創生大学 |
研究代表者 |
角田 大 医療創生大学, 薬学部, 教授 (10347974)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 薬剤師 / アンケート / 疑似科学 / 薬学教育 |
研究開始時の研究の概要 |
COVID-19拡大以降「新しい生活様式」が求められている。その様な中、科学的根拠を欠く手指消毒剤や、感染防御法など疑似科学的主張がたびたび繰り返されている。健康・医療へのファーストアクセスとなる薬剤師は疑似科学的主張に接する機会も多く、一方で商業的な点から疑似科学的商品の取り扱いもある。いわゆる「街の科学者」である薬剤師が、本来の正しい科学的思考を持っているか、また代替医療を含む様々な疑似科学的主張に対しどの様に対応しているかを調査し、薬学部生教育、薬剤師の生涯学習にその結果をフィードバックする。
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研究実績の概要 |
COVID-19の世界的流行は、一般市民に深刻な不安をもたらした。この状況で、SNSや一部のマスメディアにおいて科学的根拠のない情報が頻繁に流されることがあった。薬剤師は「街の科学者」として、正確な医療情報の提供者であり、健康に関する科学的根拠に基づいた助言を市民に提供する責任がある。この研究は、全国の薬剤師と登録販売者を対象に、彼らが疑似科学的主張にどのように対処するか、その行動特性を調査し、薬学教育の向上に役立てることを目的としている。 ランダムに選ばれた1,500の病院、1,800の保健薬局、および1,500の店舗販売業に勤める薬剤師と登録販売者を調査対象とした。科学リテラシー、確率論的推論、疑似科学の認識に関するアンケートを実施した。また仮想の疑似科学製品の広告に対する反応を通じて、行動分析を行った。薬学生を対象にしたSGDを通じて、学生たちは疑似科学的主張への対応方法や薬剤師としての倫理的責任について深く考察する機会が提供された。SGDの結果、学生たちは科学的根拠と疑似科学の区別についてより明確な理解を得ることができた。 アンケート結果に基づく分析から、薬剤師は一般的に登録販売者よりも高い批判的思考能力(アンチPSスコア)を持っていることが示され、性別、社会的背景との関連性も見られた。さらに、「売る」「売らない」という選択を通じて、科学的根拠の重要性に焦点を当てた慎重な対応が見られた一方で、顧客の意向を尊重し適切な情報提供を行う姿勢も確認された。 本研究は、薬剤師と登録販売者がどのようにして疑似科学的主張に対応しているかを明らかにし、SGDを通じて薬学生が得た知見も含めて、批判的思考の重要性と専門教育の有効性を裏付けるものである。また、科学的根拠に基づいた医療の重要性を再認識し、それを社会に広める役割を薬剤師が担うことの重要性を強調している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の研究倫理審査に時間が要したこと、アンケート依頼先の収集に時間を要したことにより、当初の予定より半年程度遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
予定された研究は一通り終了しているので、今後は学術論文を作成し発表する。
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